アベノマスク「耳が痛くて使えない」呆れた実態

輸入会社社長と厚労省マスクチームの言い訳

記事冒頭の写真のとおり、耳に掛けるひもが短く、耳の付け根までしっかりと掛けることができない。さらには、耳に当たる部分の伸縮性がない。この男性に無理矢理マスクを装着してもらったせいか、数分した経っていないのに耳がうっ血して赤くなってきた。

顔のサイズには個人差があるので、大半のマスクは耳に掛ける部分にゴムなどの伸縮性がある素材を使用している。だが、このマスクは耳に掛ける部分も布。これでは顔が小さい人しか装着できないだろう。

「私の妻も一緒に介護の仕事をやっているんですけど、妻はなんとかこのマスクを装着できます。でも、私の事業所を利用している方の6割以上が男性ですから、装着できない人は多いはず。これでは税金の無駄遣いでしょう」

東京都内で訪問看護の仕事をしている女性の看護師にも、同じベトナム製のマスクが2枚配布された。

「薄くて子供の肌着のような布ですね。マスクのサイズにバラつきがありますし、長時間着けていると、耳が痛くなって泣けてくるほどです。マスクの内側にガーゼを入れて使っていますが、機能面での不安もあるので、痰の吸引や口腔ケアなどの感染リスクが高い看護では使い捨てのサージカルマスクを使っています」

SNSには全国各地の介護事業関係者たちが投稿した、このマスクに対する不満や困惑のコメントがあふれている。その多くが装着画像付きで、それを見ると実際の使用に耐えない様子がうかがえる。

つまり製造ロットや、個別の1つ1つに発生した不具合ではなく、仕様そのものに問題がある、とみるべきだろう。

ベトナム製マスクを輸入した社長の主張

国から配布された2種類のマスクを広げて、サイズを計測してみた。1つは安倍首相が使っているようなガーゼマスク。実際に装着したときをイメージして、ゴムを少し伸ばすと、全体の横幅は約33センチだった。もう1つは、介護施設などに配られた、このマスクだ。横に広げようとしてみるが、ほとんど伸びず約28センチ。その差は約5センチもあったのである。

いわゆる通常のアベノマスクと比較すると小さい(筆者撮影)

調べてみると、ベトナム製のマスクを納入したのは、厚労省がかたくなに社名の公表を拒んでいた福島市のユースビオ社が、輸入していたものだと判明した。

社長の樋山茂氏に、あらためて電話で経緯を聞いた。

──ガーゼマスクとは異なる形状のマスクを納めた理由は?

それはお答えする義務はないので、お答えしません。うちはこれが調達できただけです。以上です。

──立体的な形状にしたのは、樋山さんの考え?

ベトナムマスクは、みんなあのカタチです。

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