新型コロナが引き起こす「MMTブーム」の第2波 パンデミック収束後の「新たな経済危機」とは

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本書の際立った特長をいくつか挙げておこう。

① わかりやすさ

本書は、何と言ってもわかりやすい。経済書にありがちな専門用語でけむに巻くようなところがまったくない。

それというのも、著者の森永氏は、金融教育ベンチャーである株式会社マネネのCEOであり、経済知識の教育に関しては、プロ中のプロなのだ。しかも、証券会社等におけるアナリストやストラテジストとして活躍し、アジア各国でさまざまな企業や事業を立ち上げた経験ももっている。森永氏は、「机上の空論」ではなく、生きた経済現実を知っているのだ。

興味深いことに、MMTに積極的な関心や理解を示すのは、森永氏のような金融アナリストや税理士など、民間の実務家が多いようだ。例えば、昨年『MMTとは何か』(角川新書)を上梓した島倉原氏も、株式会社クレディセゾンの主任研究員であった。逆に、MMTに対して強い拒否反応を示すのは、(財務省を除けば)主流派経済学の訓練を受けた経済学者が圧倒的に多い。

実は、MMTは、現代貨幣「理論」とは言いながら、実際には「理論」というよりは、税財政、金融あるいは会計実務の「描写」の側面が色濃い。だから、実務家に好まれる。そして、同じ理由から、主流派経済学界の理論家には敬遠されるのであろう。

MMTを中立的な立場から書いている

② 公平・中立

「MMTが日本を救う」というタイトルにもかかわらず、森永氏はMMT支持者としてではなく、中立的な立場から書いている。MMTをめぐる論点を広く網羅し、その賛否を公平に扱っている。これは、昨年のMMT論争で論点が出尽くした後の「第2波」だからこそできる「後発の利益」と言える。

また、本書は、MMTに関する賛否を題材にしつつ、財政、税制、金融、マクロ経済学の基本知識を身に付け、経済の仕組みについての理解を深めるための教材としても十分に使えるものとなっている。「MMTが日本を救う」というタイトルには、「(国民が)MMT(を通じて経済の知識を深めること)が日本を救う」という意味が込められているのではないだろうか。

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