自動運転ついに解禁、事故の責任は誰がとる?

自動運転法制の専門家、中山教授に聞いた

――今回の改正道路交通法を見ると、自動運転中の前方注意義務は免除された一方で、安全運転配慮義務は課されています。事故時の刑事責任はどう判断されることになるのでしょうか。

自動車事故の場合の刑事責任で主なものは、自動運転過失致死傷(懲役七年以下、または罰金100万円以下)や危険運転致死傷(懲役15年以下または罰金100万円以下)など刑法上(自動車運転処罰法含む)決まっているものがある。

中山幸二(なかやま・こうじ)/明治大学法科大学院専任教授。2004年から現職。 経済産業省「自動走行の民事上の責任及び社会受容性に関する研究」有識者会議・顧問。主に民事訴訟法の観点から自動運転に関わる法整備に向けた活動を行っている(写真:明治大学)

いずれの場合でも、刑事責任の場合は運転手に過失、つまりミスや不注意がないと運転手の責任が問われることはない。この過失の判断に道路交通法を守っていたかが大きく関わってくる。安全運転義務が残った意味を私なりに考えると、整備不良への対応や、レベル3ならではの自動運転システムから(ドライバーへの)の運転引き継ぎに備えさせるためのものだろう。

つまり、整備不良、自動運転ソフトのアップデートをしていなかった、居眠りをしていたなどの場合には自動運転中でも運転手の過失が認められる可能性が高い。他には走っている途中に異音がしたのに放置した場合などが当てはまるだろう。逆に言えば、そうした条件に該当しない場合には責任を問われる可能性は極めて低いと考えられる。

レベル3特有の問題

――自動運転ならでは、の問題はありますか。

自動運転というよりも、レベル3ならではの問題がある。一部の研究者は「レベル3とは自動運転機能の使用中はレベル4の完全な自動運転、その先(自動運転機能を解除してドライバー自身が運転している時)はレベル2の普通の車。だからレベル3の概念は必要ない」という人もいる。だが、実際はそれほど単純ではない。

今回解禁されたレベル3は、自動運転機能の機能限界(設計上決まった走行条件外のとき)になれば、人間が運転を代わる必要がある。現実問題としてドライバーが瞬時に運転を引き継ぐのは難しく、その準備に必要な時間を考えると、引継ぎまで10秒はないと厳しいというのが一般的な認識になっている。

10秒といえば高速道路ならかなりの距離を進む。この間に事故が起きたら誰が責任を負うのか曖昧だ。運転手はすぐに運転を代われる状態で待機している必要があり、すぐに対応できずに事故が起きた場合には、運転手が責任を問われる可能性があるとみている。

次ページ自動車メーカーは責任を負うのか?
自動車最前線の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 憧れから一歩前へ! キャンピングカーのある日常
  • 映画界のキーパーソンに直撃
  • ソロモンの時代―結婚しない人々の実像―
  • iPhoneの裏技
トレンドライブラリーAD
人気の動画
京セラのガラパゴススマホ「トルク」がたどり着いた境地
京セラのガラパゴススマホ「トルク」がたどり着いた境地
「人のために働く職業ほど低賃金」な根深い理由
「人のために働く職業ほど低賃金」な根深い理由
「雑談で笑いを取れない人」が知らない基本原則
「雑談で笑いを取れない人」が知らない基本原則
渋谷駅、谷底に広がる超難解なダンジョンの今
渋谷駅、谷底に広がる超難解なダンジョンの今
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
激動相場に勝つ!<br>株の道場

6月18日発売の『会社四季報』夏号が予想する今期業績は増収増益。利益回復に支えられる株価が上値を追う展開になるか注目です。本特集で株価が動くポイントを『会社四季報』の元編集長が解説。銘柄選びの方法を示します。

東洋経済education×ICT