あなたの会社はなぜ「AI」を使いこなせないのか 「AIで何かできないか」と問う前に必要な準備
AIはモデルの構築に時間がかかると思われがちだが、実は最も大変なのが学習データの準備と前処理だ。AI導入にかかる時間全体のうち、8割はこの作業に費やされるといわれる。
分析に必要なデータがない場合、どういったデータをどうやって取得するか、というところから始める。その際、個人情報などのデータに関するポリシーを策定しておくことが重要だ。
“使える”データがない
データを保有していても、使える状態にあるとは限らない。米調査会社IDCによれば、企業に蓄積されたデータのうち、分析可能な状態にあるものは15%、実際に分析に使われているものはわずか3%にすぎない。
よくあるのが、過去のデータを残していないケースだ。サーバーの容量などを考慮し、一定の期間を超えると削除してしまっている。また、データを保持する期間が業務や部署によってバラバラというケースもある。
部署Aが10年分のデータを持っていても、部署Bには1年分しかなければ、1年分しか分析できない。「機械学習は過去のデータをさかのぼれないと意味がない。必要なデータのすべてが同じ期間分そろっていて初めて、AIは本領を発揮する」(関口氏)。
社内システムの構築をITベンダーに“丸投げ”しており、自社のデータであるにもかかわらず、自社の人間が生データに触れない状態になっていることもある。
棚卸し業務の自動化や店舗従業員のサポートなどに向けて、AIの開発を進めている100円ショップ大手の大創産業(ダイソー)。そのシステム担当者は、「以前はITの運用をベンダーに丸投げしていたが、システムの中身が社内の誰にもわからなくなっていた」と振り返る。
同社はこの数年でシステムの内製化を進め、別々に分かれていた複数のデータベースをつなぎ、商品の需要を予測する自動発注システムなどを開発・導入した。並行してシステムをオンプレミス(自社運用)からクラウドへと移行。事業の成長に伴って増えるデータ量と処理能力の面で必要だったという。それがAI開発に向けた基盤にもなる。
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