あなたの会社はなぜ「AI」を使いこなせないのか 「AIで何かできないか」と問う前に必要な準備

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「日本企業の最大の課題は、さまざまなデータが分断されていることだ。それをなくすことで、AIの開発に生かせるだけでなく、顧客体験の改善やサプライチェーンの効率化にもつながる」

米グーグルや米フェイスブックを経て、データ活用支援のベンチャー、フライウィールを共同で立ち上げた横山直人CEO(最高経営責任者)はそう話す。同社は企業の中に散らばるデータを独自の検索技術を使って整理・分析し、AIに学習させるサービスを展開する。

たとえばネット通販でセールを企画する場合、発注から物流、販売、マーケティングのデータをつなげば、品薄で発送に時間がかかる商品は、顧客が関心を持っていてもおすすめに出さず、類似商品の広告を見せるといったことが可能だ。

表記の揺れは死活問題

データが集まったら、次は前処理をする。AIの精度を上げるために、きれいに整理したデータを学習させることが必須だ。収集したデータを見ると、日々の業務でデータの入力が徹底されていないため空欄になっていたり、不適当な文字が入っていたりすることがよくある。

同じ単語でも漢字表記とひらがな表記が交ざっていたり、英単語でもスペースの有無の不統一や略称表示があったりする。それらはたいてい人の手で事前に処理しなければならない。AIに限らないが、データを有効活用したいのであれば、入力ルールなどを定めておきたい。

データを処理するための環境も重要だ。大量のデータを処理できるシステムが社内に構築されておらず、代替として米アマゾンなどのクラウドサービスを使う方法があるが、個人情報や機密性が高いデータをクラウド上で処理するのは情報漏洩などの観点から禁止にしており、袋小路に入ってしまうというケースがある。

AIをスムーズに導入するためには、全体の工程をきちんと把握したうえで、社内の態勢を整えておこう。

『週刊東洋経済』5月16日発売号(5月11日発売)の特集は「AIを使いこなす人材になる」です。
中川 雅博 東洋経済 記者

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なかがわ まさひろ / Masahiro Nakagawa

神奈川県生まれ。東京外国語大学外国語学部英語専攻卒。在学中にアメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校に留学。2012年、東洋経済新報社入社。担当領域はIT・ネット、広告、スタートアップ。グーグルやアマゾン、マイクロソフトなど海外企業も取材。これまでの担当業界は航空、自動車、ロボット、工作機械など。長めの休暇が取れるたびに、友人が住む海外の国を旅するのが趣味。宇多田ヒカルの音楽をこよなく愛する。

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