国民に愛想をつかされた「アホノミクス」の末路 非常時にこそ露呈する「政策責任者の器」

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ここで、少し海外の新型コロナ対応に目を向けておきたい。アメリカのトランプ政権については、何をかいわんやだ。トランプ氏は、感染状況や治療方法について、あることないことツイートしまくって混乱を招いてばかりいる。各州の知事たちが懸命に頑張っているのに、それを邪魔立てするようなことを口走る。たまったものではない。

欧州事情はさまざまだ。初動的には、大陸欧州のEU加盟諸国とEUを離脱したばかりのイギリスで大きな差があった。大陸欧州勢は、総じて早い段階からロックダウン・モードに入った。それに対して、イギリス政府は、一時、集団感染・集団免疫方式で行くのだという考え方に傾いていた時期がある。

そのため、当初は比較的緩やかな新型コロナ対策にとどまった。だが、その間に感染が拡大し、死者が2万人を超え、スペインを上回ってイタリアに迫るという状況になった。その中で、ついにはボリス・ジョンソン首相が感染し、重症化して集中治療室に運び込まれる騒ぎとなった。

疫病を甘く見て対応を誤った政策責任者に、天からの鉄鎚が下った。そんなふうにも思えてしまう顛末だが、それはそれとして、イギリスという国は何かにつけて方向感が定まるまで時間がかかるのである。

国民と対話し信頼される政策責任者が必要

何しろ、人々が納得がいくまで動かない。政府が打ち出した方針だからといって、従順にそれに従うのはしゃくに障る。気に食わない。だから、あえて逆らったりする。外出自粛だと言われると、あえてパブで騒いでしまいたくなる。

そんな特性を持つ国民に対しては、それこそ丁寧で納得ずくの説明が必要だ。それがちゃんと行われたと判断すれば、その段階からイギリス人は実にしっかり頑張るようになる。このプロセスがなかなか厄介だが、これがイギリス魂の1つの真髄だ。

これに対して、フランスはトップダウンの対応が速い。大統領権限も強い。だから初動は機敏だが、後から国民の不満が噴出しがちで大規模デモなどが起きやすい。

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