1人当たりGDPが大きな国ほど大きく落ち込む 政府は甘い見通しを捨てて「備え」の強化を

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4月13日にIMF(国際通貨基金)は4月の経済見通し(World Economic Outlook)を発表し、2020年の世界経済の成長率をマイナス3.0%に修正した。2020年1月見通し対比ではマイナス6.3%ポイント下方修正になる。になる。言うまでもなく、その理由は新型コロナウイルスの感染拡大による影響である。

主要先進国の3月末時点の人口100万人当たりの感染者数とIMFの経済見通しの下方修正幅は強く相関している。

1人当たりGDPの大きい国は落ち込みも大きい

また、筆者は今回の景気後退は1人当たりGDP(国内総生産)の高い国で影響が大きくなりやすいと予想している。これは、日本の家計調査の結果でも明らかになったように、不要不急の消費が抑制される中で、「選択的支出」に多く含まれる「ぜいたく品」や「レジャー」に関連した消費が大きく落ち込むと予想されるからである。「選択的支出」は、1人当たりGDPが高い豊かな国ほど多いことが予想される。

新興国が経済成長を遂げて中程度の所得レベルを達成したものの、1人当たりGDPが1万ドル程度になったところで成長が鈍化して先進国になれない状態を「中所得国の罠」と言う。一般に「中所得国の罠」を抜けて先進国になるためには、供給側では社会の効率性を高めるようなソーシャル・キャピタルの蓄積が必要であると言われるが、需要側では「基礎的支出」だけでなく「選択的支出」が必要になってくる。そして、先進国では「選択的支出」が人々の生活を文化的により豊かにしていくことで、GDPを高めていくことになる。

今回のコロナショックでは、必要最低限の「基礎的支出」がある程度維持されている一方で、不要不急の「選択的支出」が抑制されるやすいため、後者に依存して成長してきた「1人当たりGDPの高い国」は影響が大きくなりやすい。

次ページ「1人当たりGDP」と「GDP下方修正幅」の関係
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