1人当たりGDPが大きな国ほど大きく落ち込む 政府は甘い見通しを捨てて「備え」の強化を

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「今年の骨太の方針」ではこれまでの成長戦略をどうするのか(写真:ロイター)

総務省が5月8日に発表した3月の家計調査によると、「2人以上の世帯」の1世帯当たりの消費支出は実質で前年同月比マイナス6.0%、前月比マイナス4.0%と、大幅に減少した。

総務省は「新型コロナウイルスの感染拡大により消費行動に大きな影響が見られた主な品目など」という追加資料を発表し、「休校や在宅勤務の広がりによる巣ごもり需要や、外出自粛による影響などがうかがえる」とした。

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マスクやガーゼを含む「保健用消耗品」は前値同月比17.8%増となった。食料では「パスタ」が実質で前年同月比プラス44.4%と急増した一方で、「食事代」が同マイナス30.3%、「飲酒代」が同マイナス53.5%と急減した。

教養娯楽では、「ゲーム機」が同プラス165.8%となる一方、「映画・演劇等入場料」は同マイナス69.6%、「鉄道運賃」は同マイナス65.2%となり、明暗が分かれた。

大震災後に似て「選択的支出」が大きく落ちる

食料、家賃、光熱費などで構成される「基礎的支出」と、教育費や教養娯楽用耐久財などで構成される「選択的支出」に分けると、実質増減率は前者が前年同月比マイナス0.7%にとどまった一方、後者は同マイナス12.3%と、大幅に減少した。

過去に消費が大きく落ち込んだ局面と比較すると、現状では「東日本大震災」の後の動きに近い。2008年のリーマンショック時や2014年4月の消費税率引き上げの際には、全体的な節約志向によって「選択的支出」だけでなく「基礎的支出」も減少したが、「東日本大震災」や今回の「コロナショック」では、娯楽サービスなどの消費が物理的に困難になることで「選択的支出」が落ち込む一方で、生活必需品などが含まれる「基礎的支出」を削るまでには至っていない。

もっとも、今後は緊急事態宣言の長期化などを受けた雇用・賃金に対する先行きの不安感の高まりなどを受け、「基礎的支出」についても削られていく可能性が高い。個人消費には一段の下振れ余地がある。

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