総務省が6月5日に発表した4月の家計調査によると、「2人以上の世帯」の1世帯当たりの消費支出は実質で前年同月比マイナス11.1%、名目で同マイナス11.0%と、大幅な落ち込みとなった。実質も名目も2000年以降の現行統計では最大のマイナス幅である。
「新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言による自粛の影響で、一部の品目では巣ごもり需要などにより増加幅の拡大は続いているものの、全体としては減少幅の拡大が続いており、引き続き今後の動向には注視が必要だ」というのが、総務省の4月消費支出についてのコメントだ。
食料、家賃、光熱費などで構成される「基礎的支出」と、教育費や教養娯楽用耐久財などで構成される「選択的支出」に分けると、前者が前年同月比プラス1.1%と増加した一方で、後者は同マイナス24.3%と大幅に減少した。緊急事態宣言による外出自粛や飲食店の休業によって外食などが含まれる「選択的支出」が減少しやすかったと言える。
「選択的支出」と「基礎的支出」という分類は、消費全体が増えたときに増えやすい品目か、増減が安定している品目かという分類である。消費全体は所得に連動することから、「選択的支出」には「ぜいたく品」が多く含まれる。
「不要不急支出」と「必要支出」に分類
もっとも、新型コロナウイルスの感染拡大による影響を考える際には、「ぜいたく品」かどうかよりも、消費が「不要不急」かどうかのほうが重要である。
例えば、「携帯電話通信料」は「選択的支出」に分類されているが、緊急事態宣言下ではむしろ金額が増えやすい項目であり、4月に前年同月比プラス7.1%となった。「選択的支出」が大きく減ったのは、節約志向による影響よりも、たまたま「選択的支出」の中に「不要不急支出」が多いだけである可能性が高い。
少なくともコロナが終息するまでは続く「新しい生活様式」による消費動向を分析するためには、「不要不急支出」とスーパーやドラッグストアでの買い物など緊急事態宣言下でも消費が安定していた「必要支出」とに分類して比較する必要がある。
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