一方の富裕層は、カネを寝かせておいても仕方ないので、次々に不動産やアパートを取得するという繰り返しをしているだけで、資産が売れるか売れないかはあまり気にしてない金持ちが多いようだ。
いわば、彼らの発想は、典型的な成金のそれであり、10年で10倍になった不動産は「濡れ手に粟」のようなものだから、手元に現金があるわけではないが、多少のデフォルトがあっても大したことではなくて、自分に影響が及ぶとは、ほとんど考えていないようなのだ。
現在の中国の住宅や不動産の需給は完全にミスマッチなのだが、中国全体が浮かれているので、(自分だけは特別で)バブルの崩壊は中国では起こらないと自分に言い聞かせているようにも聞こえるのだ。
ただ、2008年のリーマンショックと違うのは、中国では国営企業の援助などがあり、キャッシュで不動産を買っているといわれる構造である。一般庶民も家を買う場合は、少なくとも形式的には最低でも2割以上の現金が必要だ。住宅を購入する際の一般的なケースは、「2割自己資金、5割が親類や会社からの補助、残りの3割が金融機関からのローン」だが、金融機関の信用の補完も柔構造になっているから、不良債権問題が深刻化するには、意外に時間を要するのかもしれない。
しかし、聞けば聞くほど、不思議な話であり、何か1980年代後半の日本の不動産バブルのころを思い出してならない。
バブルという代物は、必ずいつかは弾ける。遅れれば遅れるほど、風船は膨れあがり、爆発する時の影響は甚大である。これから次々に起こるであろう、社債や理財商品のデフォルトが中国社会にどのような影響を与えるのだろうか。一寸先は、暗闇である。このような状況は、嘆かわしいといえば嘆かわしいと憂慮せざるを得ないものの、「チャイニーズ・アズ・ナンバーワン」と中国人に言えば、彼らは本気でそれを信じるのが今の中国である。