コロナ「ネット震撼させた」ニュースの見られ方 記事や動画などコンテンツ43万件の拡散を分析

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2つに共通するのは、個人が運営しているブログであり、かつ多くの人が知りたい「現場でしか知りえない状況」や「専門的なノウハウ」を伝えるものであったという点だ。これは岩田氏の発信(個人の専門家が、現場でしか知りえない状況を発信する)にもつながるといえるかもしれない。

そして期間中、最大のスパイクが起きたのは3月29日だ。この日、何が起きたのか。

「志村けんさん死去」の巨大衝撃

3月29日、タレントの志村けんさんが新型コロナウイルス感染症による肺炎で亡くなったとする速報が、日本中を駆け巡った。インターネット上でも関連のニュースは大きなエンゲージメントを得た。

最も多くのエンゲージメントを得たのは「コメディアンの志村けんさん死去 新型コロナ感染で肺炎発症 (NHKニュース)」で79万5000あまり。そして「志村けんさん死去 70歳 新型コロナに感染、闘病も力尽く(スポニチアネックス ※Yahoo!ニュース経由・現在はリンク削除)」も56万8000以上を得た。今回分析した全コンテンツのエンゲージメント量トップ3のコンテンツはすべて志村けんさん関連であり、衝撃の大きさが見えてくる。

志村けんさんのニュースは、社会活動に影響を与えたのか。NHKが携帯電話の位置情報のビッグデータをもとに分析して推計した結果「データ分析 緊急事態宣言で東京都内の人出はどう変化したか(NHKニュース)」によれば、志村けんさんの死去が報道された3月29日以降、東京都内でも特に銀座・六本木など繁華街での人出が大幅に減っている。

もちろん、3月25日に東京都による外出自粛要請が行われ、特に繁華街での集団感染が問題視されたことも大きな要因と考えられるが、志村けんさんのニュースが心理的に与えた影響も否定できない。

上の画像をクリックすると、「コロナショック」が波及する経済・社会・政治の動きを多面的にリポートした記事の一覧にジャンプします

東京都が2017年にまとめた「健康と保健医療に関する世論調査」によれば、一般の人が保健や医療に関する情報を得る主なソースとして、「テレビ」(78%)に続くのが「インターネット(SNSを除く)」43%、そして「家族・友人・知人からの情報」(42%)となっている。

志村けんさんは多くの人にとって、長い間にわたってお茶の間で親しんだいわば「友人・知人」に近い存在であり、その死去がSNSはもちろん、テレビやインターネットで繰り返し伝えられた。このことが、外出自粛などの行動変容にどのような影響を与えたのか、という点については、公衆衛生学やメディア論の視点で今後、分析材料の一つになるかもしれない。

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メディカルジャーナリズム勉強会
Association of Medical Journalism

2016年10月にメディア関係者と医療者の有志により発足。メディアとヘルスケア関係者(医療者・支援者・当事者など)の垣根を取り払い、医療健康情報のよりよい発信手法について学びあうことを目的に活動している。2018年に非営利型一般社団法人化。2019年6月、スローニュース社の支援のもと「調査報道チーム」を立ち上げ、村上和巳(ジャーナリスト)を編集長として医療健康分野における社会課題の発掘・議論喚起を目指す取り組みを開始した。

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