コロナ「ネット震撼させた」ニュースの見られ方 記事や動画などコンテンツ43万件の拡散を分析

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時系列で、少しデータを深掘りしてみよう。2020年の年明け、1月2日に作成されたコンテンツは4件にすぎなかった。その後、1月23日に中国・武漢での感染拡大を受けた閉鎖措置(ロックダウン)などが報じられるに連れてコンテンツ数は増大。国が新型コロナウイルスを指定感染症に指定した1月27日には、1日の作成数が1000件を超えた。

その後、2月中旬から末にかけて、コンテンツ数は急激に増え、日々5000件前後のコンテンツが作られるようになる。巨大クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」への対応が国際的な注目を集めていた時期であり、新型コロナウイルスが海外の出来事ではなく「我がごと」として注目されだした空気感を表しているといえるかもしれない。この時期を象徴するコンテンツが、2月18日に発信された、医師の岩田健太郎氏のYouTube動画「ダイヤモンド・プリンセスはCOVID-19製造機。なぜ船に入って一日で追い出されたのか。」(現在は削除)だ。

今回の分析によって、この岩田氏の動画は、マスメディアのニュースサイトなどが発信するものを含む数あるコンテンツのなかで、突出して多いエンゲージメントを得たことがわかった。この動画のエンゲージメント量は、全体のコンテンツ中で第4位に多い39万1000あまり。コンテンツ全体で見ると、エンゲージメントの平均は178であるので、その2000倍以上の反響を得たことになる。

個人の発信をマスメディアが後追い

岩田氏の動画についてはその後、テレビ局や新聞社などマスメディアも後追いし、社会的に知られることになったが、このような「個人の発信がSNSで拡散し、マスメディアが後追いする」構造は、今回の新型コロナウイルスに関する情報発信のひとつの特徴とも考えられる。

ここで改めて、コンテンツの作成数とエンゲージメント数のグラフの形を見てみると、必ずしも相関があるわけではなく、特定の何日かにスパイク(急激な増大)が起きていることがわかる。目立つものとして、2月28日に大きなスパイクが起きているが、詳しく見てみると、複数のコンテンツが同時に拡散したことによるようだ。

この日、特に多くのエンゲージメントを得たコンテンツは、約24万5000の「イタリア新型コロナ:休校中の校長が生徒に送った手紙が秀逸!と話題」(「ボン先輩は今日もご機嫌 -ワンコとシチリア暮らしパレルモの平日-)」、約9万8000の「【医師直伝】間違いだらけの新型コロナウイルス~いま日本人が知っておくべき6つのこと。」(南日本ヘルスリサーチラボ)などだ。

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