コロナから回復後も気が抜けない患者の現実 ニューヨークで訪問看護師が挑む退院後ケア
[24日 ロイター] - ニューヨーク市クイーンズ区の住宅街に車を停めた看護師のフローラ・アジャイさんは、トランクを開け、個人防護具が詰まったプラスチック容器を取り出した。手袋と青いガウン、二重のマスク、フェイスシールド、さらに靴カバーを着用し、担当するCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)患者の1人が生活する家に足を踏み入れる。
47歳のアジャイさんは、ニューヨークの訪問看護師ネットワークの一員。ウイルス感染による呼吸器疾患から回復し、退院して自宅に戻った数百人の患者への支援にあたる。パンデミックとの次なる最前線で孤独に格闘する戦士のひとりだ。
感染力の高い新型ウイルスにより、ニューヨーク州内では少なくとも2万300人が命を落としており、国内における感染拡大の中心地となっている。米国における死者は他のどの国よりも多く、ロイターの集計によれば最低でも4万9000人を数える。
患者が病院における24時間体制の治療から自宅での生活に移行するに当たって、訪問看護師はきわめて重要な役割を担っている。アジャイさんは毎日、ウィルスに汚染されている可能性の高い住宅に出入りし、多ければ1日12回も個人防護具の着脱を市内の歩道で繰り返している。
防護具を何度も使い回すことはできない。だから、アジャイさんの車にはマスクやガウン、手袋が満載されている。
「患者の目となり耳となる」
「私たちも最前線で戦っている」とアジャイさんは訪問看護師について語る。彼女はいま、新型コロナに感染して入院していた病院から最近戻ってきた74歳の女性の家に入るため、ガウンの紐を背中で結んでいるところだ。「医師は、私たちが彼らの目となり耳となることを望んでいる」
ニューヨーク州保健当局のジョナ・ブルーノ広報官によれば、同州では4月22日の時点で4万303人の感染患者が退院しているという。