【産業天気図・証券業】回復ピッチが鈍化で来秋まで「曇り」続く、野村は引き受け業務で独走

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予想天気
  09年10月~10年3月    10年4月~9月

証券業界は2010年9月まで終始「曇り」が続きそうだ。今10年3月期、大手・準大手中心に業績は回復傾向にあるが、今後は国内株式の関連業務を中心に減速を余儀なくされそう。本格回復の「晴れ」はまだ遠い。

09年4~9月期(上期)は、金融危機沈静化に伴う株価の回復を受け、株式委託手数料やトレーディングが上向いた。企業の増資、社債調達ニーズの高まりから引受業務も大手証券を中心に大きく改善した。また、金利や成長性の高い新興国・資源国を対象とした投資信託や外債の販売も好調に伸びた。前09年3月期は金融危機の影響で軒並み大幅な赤字に陥ったが、今上期は一部の中堅以下を除き、黒字回復が目立つ。

業界最大手の野村ホールディングス<8604>は前期、不良資産の処理損も嵩み、最終利益で7081億円の巨額赤字に転落した。だが今上期は国内外でのトレーディングの急回復や国内営業の堅調などから391億円の黒字に浮上。大和証券グループ本社も大型増資引き受けなどが奏功し、黒字に復帰している。

ただ10月~10年3月期(下期)については、国内株式市場の株価低迷や売買高低調により減速が予想される。上期好調だった投信や外債も、新興国市場などで高値警戒感が強まっていることもあり、販売が伸び悩む公算が大きい。増資ラッシュで引き受け業務は引き続き堅調だが、10月以降の主幹事シェアでは野村が6~7割を獲得するなど独り勝ちの様相。準大手以下への恩恵は小さく、収益は弱含みそうだ。「増資ラッシュが株式市場の重荷となり、逆に証券業界全体の首を絞めている」(大手証券幹部)との指摘もある。

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