コロナ対応、成果が出ても続く医療現場の負担 新規感染者数は減少傾向だが油断できない

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5月1日に行われた感染症対策専門家会議の会見。写真右が尾身茂副座長。左は西浦博教授(記者撮影)

「かなり真剣に議論を重ねてきた結果、当面は今の(感染対策の)枠組みを維持するべきだと。この感染症には長丁場での対応が必要になる」

政府の緊急事態宣言が東京都など7都府県に発令されてから3週間、全国に拡大されてからおよそ2週間が経った。5月1日に新型コロナウイルス感染症対策専門家会議が開いた会見で、尾身茂副座長は5月以降の対策の方向性について冒頭のように説明した。

今回、専門家会議が出す現状分析の中で特に注目されていたのが、「実効再生産数」の値だ。実効再生産数とは、ある状況で1人の感染者が次にどれだけの人数に感染させているのかを示す数値。この数値が1を上回れば感染が拡大していることを表し、下回れば収束に向かっていることを示す。

8割の接触削減が実現できていない

今回、専門家会議メンバーで北海道大学の西浦博教授が示した4月10日時点の実効再生産数は、「東京都で0.5、全国では0.7」というものだった。

実効再生産数が示されたのは4月1日以来のこと。その際、全国は3月15日時点で1を越えており、東京都は1.7(3月21日~30日までの確定日データに基づく推定)としていた。1カ月ぶりに更新された数値は前回より大幅に減少していた。さらに東京、全国ともに1を下回っていたことから、理論的には流行は収束に向かっていることになる。

だが、この数値を算定した西浦教授の見方は依然厳しい。「これまで求めてきた8割の接触削減が達成されれば、(実効再生産数の)値は継続的に0.5を下回り続けることができる。現状では必ずしもその水準に達しているわけではない」。

西浦教授はこれまで、早期に収束させるためには、コロナウイルスに感染する可能性のある接触を8割以上削減する必要があると数理モデルを使って説明してきた。現状の接触削減は目標とする8割に届いておらず、十分ではないという見方だ。

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