コロナ対応、成果が出ても続く医療現場の負担 新規感染者数は減少傾向だが油断できない

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今村氏は会見でこう述べた。「東京都では新規感染者数が減少しているうえ、軽症者は医療機関ではなくホテルでの療養も始まっているため、現場としては助かっている部分もある。だが重症者は依然入院したままで、新規感染者が減ったからといってすぐに現場の負担が減るわけではない」。

新規感染者の伸びが鈍化してきたとはいえ、全体の感染者数が増え続けていることに変わりはない。感染者の中からは一定の割合で重症化する患者が出てくる。重症化すれば2~3週間の入院が必要で、人工呼吸器を使った呼吸管理や集中治療による全身管理を要する患者が多く、医師や看護師の負担も大きい。新規感染者が増加した影響は、時間差で医療現場の負担として現れる。

新規感染者の伸びが抑えられていても、全国では4月初めまでは1日5人以下の水準だった死亡者は、4月中旬からは30人を超える日があるなど、増加傾向が続いている。

すでに医療崩壊は起こっている

専門家会議の尾身副座長は4月1日の会見で、「オーバーシュート(爆発的な感染拡大)が起きなくても、医療崩壊は起こりうる」と述べた。

実際、医療機関の逼迫から、新型コロナの患者以外でも救急外来からの受け入れ拒否によって“たらい回し”にされるケースも起きている。「すでに医療崩壊は起こっている」と話す医療関係者は少なくない。

国の緊急事態宣言は5月6日までの予定だったが、安倍首相は1カ月程度延長すると表明した。専門家会議が示した「当面」の間、接触削減で感染拡大をどれだけ抑えられるか。それは、医療現場にコロナの負担が一段と増すのを防ぐことにもつながる。

石阪 友貴 東洋経済 記者

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いしざか ともき / Tomoki Ishizaka

早稲田大学政治経済学部卒。2017年に東洋経済新報社入社。食品・飲料業界を担当しジャパニーズウイスキー、加熱式たばこなどを取材。2019年から製薬業界をカバーし「コロナ医療」「製薬大リストラ」「医療テックベンチャー」などの特集を担当。現在は半導体業界を取材中。バイクとボートレース 、深夜ラジオが好き。

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