たとえば、世界最大手のアプライドマテリアルや、ラムリサーチはアメリカ・カリフォルニア州に本社がある。同州では厳しい外出制限が出されていることから、生産や開発に支障が生じている。両社はともに直近の業績見通しを出せていない。
また、機密情報が多く含まれる半導体製造では、現地での製造装置メーカーと半導体メーカーが直接やりとりして装置の仕様を詰めたり、装置の操作方法を伝えたりする作業が欠かせない。
国をまたいでの移動がほとんどできない現状では、それらも制約を受けている。各製造装置メーカーも現地に駐在している社員が対応しているが、それだけでは限界がある。日本の拠点と、海外の半導体工場を通信でつないで打ち合わせるなどの対策が今後どれだけできるのかも重要だ。
10%成長はコロナでも変わらない?
東京エレクトロンは、現時点でコロナウイルスの経済影響が読めないため、2021年3月期の業績見通しを公表しなかった。だが、4月30日の決算会見で河合社長は強気の発言を繰り返した。
2020年1月には、東京エレクトロンの装置が担当する半導体製造装置の前工程の市場規模が2020年に10%以上成長するという見方を示していたが、新型コロナウイルスの感染が拡大した今でもそれは「変わらない」と強気だ。
河合社長が一番おそれるのは世界経済の減速により、半導体業界に想定以上の下押し圧力が加わることだ。「(データ通信量の増加で半導体需要が一段と拡大するという)当初の計画をいかに予定通りこなすかに集中している」。決算会見で繰り返した成長持続にこだわる発言からは、不測の事態はなんとしても避けたい、そんな思いがにじんだ。
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