再建中の東芝が「東証1部復帰」にこだわる事情 株価を引き上げ、アクティビスト追い出しへ
経営再建中の東芝は4月3日、現在上場している東京証券取引所第2部から1部への復帰を東証に申請したと発表した。債務超過を理由に東証2部に降格してから3年。早ければ2020年秋にも東証1部復帰の道が見えてきたが、課題は残されている。
東芝をめぐっては、利益を水増しする不正会計が2015年4月に発覚し、同年に歴代3社長らが引責辞任するなど経営が混乱。さらに2016年末にはアメリカの原発子会社で巨額損失が発覚し、債務超過に陥ったため、2017年8月に東証2部へ降格していた。
東証の昇格基準緩和の恩恵を受ける
2部から1部に復帰するためには、監査法人の適正意見がついた有価証券報告書が必要になる。これまでの東証ルールでは過去5年分が必要だったが、東証は2月、直近2年分でよいとする昇格基準の緩和に踏み込んだ。
このルール変更の恩恵を受けたのが東芝だ。東芝は2017年3月期の有価証券報告書で適正と認められていなかった。東証の基準緩和と軌を一にして、東芝は2019年末から1部復帰に向けた専門部署を立ち上げ、早期復帰の準備を進めていた。
そんな中で誤算だったのが、1月に発覚した子会社の東芝ITサービスで5年にわたって実態のない循環取引をしていたことだ。東芝は当初、2月にも1部復帰を申請する予定だったが、不正取引の対応に追われ、4月までずれ込んだ。
もっとも、東芝にしてみれば、今回の不正取引は子会社が主導したのではなく、過去の東芝不正決算とはまったく異なるとの認識だ。1部昇格審査への影響は限られるとの期待が東芝にはあるが、東証が審査に慎重になる可能性もある。東証の審査期間は3カ月程度とされているが、2017年に東証2部から1部へ復帰したシャープの場合は申請から承認まで約5カ月かかった。
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