コロナ禍の勤務「労災」が下りる人、下りない人 最新の「厚労省Q&A」「行政通達」から読み解く

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冒頭のMさんが万が一感染した場合は、勤務先がコンビニエンスストア(小売業の販売業務)であることから、感染経路が特定されない場合でも、潜伏期間内の業務従事状況やプライベートを調査し、業務起因性があると判断されれば労災として扱われることになります。

いずれにしても、労災申請後は個別に状況を調査されるため、いつどこで誰とどのような接触をしたか、職場、通勤時、プライベートにおける証跡を残しておくとよいです。

上記が現段階での解釈になりますが、新型コロナウイルスに関しては、情報が日々更新されている状況です。そのため、労災の認定についても再度解釈が変わってくる可能性がありますので、万が一の時は最新情報を確認してください。

労災の認定を受けたら何が違うの?

病気やケガで病院にかかる際の治療費は、健康保険等(労災でない場合)の場合は原則3割、労災の場合は原則全額タダになります。今回、新型コロナウイルスについては、感染症法に基づき「指定感染症」に指定されているため、新型コロナウイルスに感染した場合は、全額公費で負担されるので、治療費はタダになります。そのため、治療費については、労災の認定を受けても変わりません。

では何が変わるかと言うと、休んだ期間の給与の補償等が大きく変わります。

新型コロナウイルスに感染した場合、当分の間は就業が制限されるため、原則としてその期間会社から給与が支払われないことになります。

労災以外で病気やケガで欠勤した場合については、健康保険は傷病手当金がもらえますが、欠勤4日目以降分から対象となり、1日当たりの給付額は、支給開始日の以前12カ月間の各標準報酬月額を平均した額÷30日×(2/3)となっています。標準報酬月額については、過去記事『給与が減ったと思ったら「この表」を見よ!』をご覧ください。なので、ざっくりいうと月額給与の約6割がもらえます。  

一方、労災の場合は、1日当たりの給付額は給付基礎日額(過去3カ月の給与をベースにした額)の8割がもらえます。そのため、給付額の差は大きいと思います。

新型コロナウイルスが終息するまでかなりの時間がかかることが予想されます。まずは、新型コロナウイルスに感染しないように、また感染させることがないように、一人ひとりが考え、行動して感染拡大に努めていきましょう。

武澤 健太郎 大槻経営労務管理事務所社員役員、特定社会保険労務士

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たけざわ けんたろう

社会保険労務士法人 大槻経営労務管理事務所 HRコンサルティング事業部担当役員。2011年9月に経営労務監査プロジェクトのプロジェクトリーダーとして、数多くの労務監査を手掛ける。2012年5月に特定社会保険労務士を付記するとともに、多数のクライアントより個別労使紛争を含む労務相談を受ける。そして、2013年9月には、海外進出プロジェクト担当リーダーに就任し、アジアを中心とした海外進出に必要な労務管理、労働社会保険のアドバイスを積極的に行っている。

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