日立グループ、「金属」「化成」で不正相次ぐ事情 日立金属で10年以上の検査データ不正が発覚
日立グループで検査不正がまた発覚した。
日立金属は4月27日、主力の特殊鋼製品とフェライト磁石などの磁性材料で、検査データを偽造するなどの検査不正があったと発表した。いずれの部品も自動車や家電、産業機器などで幅広く使われており、不正を通じて製品を納入した顧客は延べ約170社に上る。
検査データを書き換え、顧客に提出
不正があったのは特殊鋼、フェライト磁石、希土類磁石の3種類の素材だ。特殊鋼はクロムやニッケルなどを特殊配合して耐久性を強くした鋼で、主に加工治具や自動車部材に使われている。
またフェライト磁石は、主にワイパーやパワーウィンドウなど自動車用やエアコン等家電用の各モーターに用いられ、希土類磁石はネオジム等のレアアースを主原料とする強力な磁石で、自動車の電動パワーステアリングやFA(ファクトリー・オートメーション)、ロボット用モーターに使われている。
いずれも顧客と契約していた品質基準に合うように検査データを書き換えたものを「検査成績書」として顧客に提出。特殊鋼では14品種、約30社、フェライト磁石は約580品番、約70社に、希土類磁石は約370品番、約70社の顧客にそれぞれ納入されていた。
不正には特殊鋼を作っている安来工場(島根県安来市)や、磁石を作っている熊谷磁材工場(埼玉県熊谷市)などの国内拠点のほか、韓国、フィリピン、インドネシア、アメリカの海外拠点も関与していた。3品目の2019年度の売上高は合計3105億円で、そのうち実際に不正が一部でも認められた製品は245億円分に上る。
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