残るは建機と金属、日立の「選択と集中」最終章 日立ハイテクを5300億円で完全子会社化
日立製作所が「選択と集中」を急加速させている。
同社は1月31日、約51%の株式を持つ計測・分析機器大手の上場子会社、日立ハイテクノロジーズにTOB(株式公開買い付け)を実施し、完全子会社化すると発表した
「日立ハイテクの計測・分析技術を生かして、デジタル事業を強化していきたい」
日立製作所の小島啓二副社長はこのように語った。TOBは2月17日から1株8000円で日立ハイテク株を買い取る。買収総額は5311億円となる見通しだ。
子会社化でヘルスケア強化
日立ハイテクは、商社とメーカーの両機能を持つユニークな存在だ。日立グループのエレクトロニクス専門商社である日製産業が前身で、2001年に日立から移管された半導体製造装置・計測器メーカー部門と統合し、現在の社名になった。半導体製造装置は評価・解析用の測長SEM(走査型電子顕微鏡)では世界首位級。DNAシーケンサなどバイオ分析装置も展開し、体外診断事業ではスイスの製薬大手ロシュと提携している。
今回、日立ハイテクを完全子会社化するのは、ヘルスケア事業を強化するのが狙いだ。日立のAI(人工知能)やデータ解析技術と日立ハイテクの体外診断事業を融合させることで、病院や研究機関で確度の高い診断やサービス向上につなげていく。
日立幹部はちょうど1年前に日立ハイテクに意向を伝え、水面下で完全子会社化の調整を進めてきた。2019年前半まで5000円前後で推移していた日立ハイテクの株価は同年後半にかけてじりじりと値を上げ、TOBを公表した1月31日には7920円まで上昇。調整を始めた当時と比べて、買収資金は大きく膨らんでしまった。
そのせいか、日立を担当する証券アナリストからは「子会社を完全子会社化するのに5000億円以上も使う必要があるのか。どうせ金を使うなら外部企業に使った方がいいのではないか」との批判が飛び出す。
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