残るは建機と金属、日立の「選択と集中」最終章 日立ハイテクを5300億円で完全子会社化

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東原社長は、日立物流や日立キャピタル、日立工機、日立国際電気、クラリオンなどグループの名門企業を次々に売却。10年前に20社超あった上場子会社は日立ハイテクノロジーズ、日立建機、日立金属、日立化成の4社に減少した。

それが2019年末から日立ハイテクと日立化成の処遇を決め、今後の焦点は残る日立金属と日立建機をどうするかに移っている。

日立金属に西山CFOを送り込む

御三家の一角でモーター用磁石などを手がける日立金属には4月から、日立の西山光秋CFOを会長兼CEOとして送り込む。日立金属の2019年4~12月期は調整後営業利益が前期比72%減の118億円と低迷。日立化成と同じく業績は振るわず、前期まで3期連続で減益のうえ、今2020年3月期は磁性材料で減損を計上し、470億円の最終赤字に転落する見込みだ。CEOになる日立の西山氏は「一刻も速い業績の回復、事業再編に取り組んで行きたい」という。

日立金属はもともと独立心が旺盛で、日立製作所との取引も少ない。ただ2010年には日立金属社長を日立製作所の副社長に就けるなど、グループの一体感を高める動きもあった。その後、2013年に日立電線と経営統合し、日立化成との統合も模索していたが、昭和電工への日立化成の売却が決まったことで、日立金属も業績回復後にグループ外へ売却されるのではないかとの観測が強まっている。

日立建機も日立化成や日立金属と同じく、業績は厳しい。中国やインドでの景気減速を受けるなどボラティリティ(業績の変動度合い)の高さを露呈。1月29日に発表した2019年4~12月期業績は売上高が前年同期比7・5%減の6871億円、調整後営業利益が同31・0%減の587億円と大幅減収減益に沈んでいる。

日立の東原社長は「ボラティリティが高い会社は遠ざけないといけない」と明言しており、収益のブレの大きい日立建機も売却されるのではないかとの観測が強まっている。ただ、2019年3月期は調整後営業利益率が11%を超えるなど潜在的な収益力が高く、建機の故障余地を検知するIoT事業でもルマーダとの親和性が見込めるとの声もある。売却するには「難しい判断が迫られている」(日立幹部)可能性がある。

日立が考えるグループ再編のメドは2021年度まで。川村社長時代から歴代3社長が、10年がかりで進めてきた日立の再編劇は最終章を迎えている。

冨岡 耕 東洋経済 記者

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とみおか こう / Ko Tomioka

重電・電機業界担当。早稲田大学理工学部卒。全国紙の新聞記者を経て東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などにも所属し、現在は編集局報道部。直近はトヨタを中心に自動車業界を担当していた。

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