残るは建機と金属、日立の「選択と集中」最終章 日立ハイテクを5300億円で完全子会社化

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だが、日立の小島副社長は「お互いに別々の組織ではデジタル化のスピード時代に世界では勝てない。デジタルと関係のない時代だったら完全子会社化という選択肢は取らなかったかもしれないが、今の時代は完全子会社化が必要と判断した」と反論する。

日立は2019年に掲げた新しい中期経営計画で、2021年度の調整後営業利益率で10%超を目指す高い目標を掲げた。2018年度までの3カ年計画で調整後営業利益率が8%を初めてクリア。次の10%超という目標は、ライバルであるシーメンスなどと比べても遜色のない水準だ。

「ルマーダ」との相乗効果で事業入れ替え

目標達成に向けてカギを握るのは、日立が進めるデジタル技術を活用したソリューション・サービス「ルマーダ」だ。ルマーダは現場の機器などから収集したデータを分析・解析して、それを現場の効率化に生かすためのIoT基盤だ。ルマーダとの相乗効果が出やすい事業へのポートフォリオ入れ替えを急いでおり、そこに聖域は設けない方針だ。

もし、ルマーダとの相乗効果がなければ、中核子会社でもばっさりと切り捨てる。逆に、相乗効果が高ければ、完全子会社化する。ルマーダの生みの親でもある小島副社長は、今回の日立ハイテクの完全子会社化への批判に対して、「われわれは事業を成長させて投資回収する会社だ。株価を気にして(日立ハイテクのTOBを)したわけではない。ルマーダ戦略にとって今必要だと考えてやったことだ」と主張する。

実際、日立の動きは速い。2019年10月には車載部品を手がける子会社の日立オートモティブシステムズと、ホンダ系のケーヒン、ショーワ、日信工業3社の統合を発表し、実質的に日立傘下に収める。2020年前半には、送配電などのパワーグリッド事業を世界最大手のスイスABBから約7000億円で買収する。

これは日立にとっては過去最大の買収案件で、取得後は同事業で世界首位に躍り出る。送配電をルマーダで高効率化していく。日立幹部は「ルマーダを拡大するにはスケールとシェアが必要だ。逆にいえば、今後もシェアが取れそうにないものや採算性が低い事業は整理していく」と断言する。

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