ディズニー発ニコニコ経由で「作品」を売る ディズニーとニコニコが組むと、こうなった(1)
川上 ネット、いわゆるダウンロードの場合はすごく難しい。携帯電話にコンテンツをダウンロードしても、携帯電話はだいたい2年に1回ぐらいの頻度で買い替えるんですよ。パソコンも一生同じものを使い続ける人はいない。その時に、もう1回買うかというと、たぶんそれはありえない。
コンテンツはコピーライト、要するに複製権といって、複製ごとにおカネを払うのが従来の考え方だった。けれども、ネット時代は毎回払うなんてバカらしいこと誰もやらない。そうすると、クラウド上で使用権みたいものを管理する方向にだんだん変わっていく。
作品単位で売る
塚越 その結果として、僕らなりに解釈したのが「作品単位で売る」っていうこと。VHS、DVD、デジタルコピーというバラバラのメディア向けを売るのではなくて、たとえば『プレーンズ』というディズニー映画の作品を買ってくれたら、DVDもブルーレイもデジタルコピーも、全部セットになっている。消費者の皆さんが作品を買ってくれるというふうに、僕らはポジショニングを変えようじゃないかと。
川上 ネットというと、プラットフォーム本体が強くなりますよね。それに従来のパッケージが対抗するとしたら、基本のパッケージにネット配信権を付けることがおそらく必要になるでしょう。
塚越 ドワンゴさんはデジタルコピーで、スマホやPCなどいろんな場所でコンテンツが見られる広がりと同時に、2013年11月から月に一度、映画の最新情報や無料放送をする「ディズニーっコすたじお」という番組を提供してくれている。インターネットで映像を楽しんでもらうためのコンテンツや、いろんなサービスが受けられるものも作ってくれた。
まだまだ始まったばかりですが、コンテンツをどうやって楽しんでいこうかという発想は珍しかったんですよ。ほかのIT企業の方々は、集客や効率化に走ってしまう。でも、川上さんには、コンテンツを作るとか楽しむとかという“ならでは”の発想があった。
川上 「いつかクラウドベースに移行するだろう」「どのメディアで視聴するかはユーザーが選ぶ」と、僕らもずっと何年も前からコンテンツ業界の人にプレゼンし続けています。
それともう一つはアフターサポートですね。売った後のサポートを大事にする家電製品の考え方は、コンテンツの世界にもある。パッケージそのものはコピーされるけど、それに対するサービスはコピーできない。パッケージを買ったあとに、ちゃんと登録すればデジタルコピーも手に入るし、そういうプラスアルファも。