中国経済回復で迫られる日系企業の「戦略転換」

自動車工場は生産正常化、消費促進も積極化

稼働を再開した東風乗用車武漢工場(筆者友人撮影)

2020年1~3月期の中国国内総生産(GDP)は、前年同期比6.8%減、1992年以降で初めてマイナス成長に転落した。新型コロナウイルスの感染拡大により、経済活動の停滞が中国経済に大きな打撃を与えている。

一方で、中国国内の感染が収束段階に入っており、政府の企業支援策もあって、内需を中心とする経済成長が期待されている。国際通貨基金(IMF)が4月14日に発表した今年の世界経済見通しでは、主要国の成長率が軒並みマイナスに転落する中、中国の成長率は1.2%のプラスが予測されている。言うまでもなく、14億人規模の巨大市場が早期回復できれば、世界経済の成長に大きく貢献する。

今後も中国が「世界の消費市場」であることに変わりはなく、日系企業もその市場を等閑(なおざり)にするわけにはいかない。生産拠点が特定国に集中するリスクと、現地市場に浸透する「地産地消」戦略をいかにバランスよく両立させるかが、日系企業のグローバル戦略に問われている。

チャイナ・パワーの源となる消費市場の回復へ

中国では、「GDPの三頭馬車」と言われる投資、消費、輸出が経済成長の重要な指標として重視されている。2020年1~3月の指標をみると、企業の設備投資や政府の公共事業の動向を反映した固定資産投資が前年同期比16.1%減、個人消費の動向を示す社会消費品小売総額は同19.0%減に失速した。輸出額は同11.4%減となり、新型コロナウイルスの影響による海外市場の需要減少が続いている。

2020年4月16日時点で全国における工業部門企業の操業率は99%に達したものの、中小企業の操業率は84%にとどまっている。翌日に開かれた中央政治局会議では雇用・民生・サプライチェーンを維持する6つの「保障」が初めて提起され、中小企業の発展を重視する姿勢が示された。

中国政府は中小企業の増値税減免、社会保険費用の減免など一連の支援策を打ち出し、減税総額は1兆6000億元(約24.3兆円)に達した。中国財政部は、すでに配分した専項債券(地方政府向けのレベニュー債)に加え、新たに1兆元(約15.3兆円)の配分を計画し、総額2.3兆元(約35兆円)規模のインフラ投資で内需の拡大や新規雇用の創出を推進している。

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