個人消費の拡大を牽引する新車販売では、中国工業情報化部が新エネルギー車購入の補助金制度を2年間延長し、各地方政府も自動車消費刺激策を打ち出した。
また、南京や杭州など約20都市の地方政府が、特定の消費活動に使用できる「消費券」をスマートフォンの専用アプリで市民に支給し、消費喚起を図っている。今年は、中国の「小康社会」(ややゆとりのある社会)を全面的に実現する公約の最終年であり、今後中国政府は積極的に財政出動に取り組んでいくと思われる。
東風ホンダのフル稼働の意義
地方政府が地元企業の操業再開を支援し、経済の早期回復を図ろうとしている。特に雇用創出効果が大きい自動車産業が優先支援対象として挙げられる。
武漢市に本拠を置く国有自動車大手、東風汽車集団傘下の4大乗用車メーカー、計6工場は3月末にすべて生産を再開した。東風の自主ブランド「風神」を生産する東風乗用車の稼働率は前年同期並みに回復し、1次サプライヤー448社、2次サプライヤー224社(武漢市内)もすべて生産を再開し、独ボッシュ、仏ヴァレオ、デンソーなどのグローバルサプライヤーも生産を再開した。
武漢で3つの工場を設けている東風ホンダ(年産能力63万台)では、従業員1万2,500人のうち、春節前に市外へ移動した帰省者が全体の5割超を占めた。市政府の協力で確保したUターン専用列車やバスを利用し、湖北省各都市から従業員を武漢に迎え、従業員不足の問題を解消した。また、東風ホンダに供給しているサプライヤーは国内に約500社、うち151社は武漢にあるが、市政府が同社に操業再開の専門チームを立ち上げ、サプライヤーにも支援を実施していた。
こうした官民挙げての取り組みにより、東風ホンダは4月6日にフル稼働して3000台/日の生産体制に回復した。当社サプライヤー及びディーラー(550社)もすべて操業を再開した。武漢最大の製造業企業である東風ホンダのフル稼働から、武漢市ないし中国のコロナウイルスの感染が収束段階に突入したといえよう。
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