余る原油と足りないマスク「両極端」が示す警鐘 政府による正しい判断に基づいた介入が必要

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また、マスク増産計画を作る前に、丁寧な説明をして、パニック需要を抑える必要もあります。

マスク生産がなぜ進まないか、どうすれば事態が改善するかを、国民に説明することが重要です。あるいは、マスクが感染防止にどの程度必要かを説明する必要があります。

マスク2枚は、実用的でもなく、安心材料にもなりません。これを全世帯に配るために使われる労働力は、無駄としか言いようがありません。

五輪の準備に貴重な資源と労働力が使われていないか?

政府のコントロールがきく分野でも、資源の浪費が行われています。

それは、オリンピックです。

2021年7月のオリンピックを事業とみなし、その先物市場を作れば、価格は、間違いなくマイナスになるでしょう。

先物価格がマイナスになった原油の生産と同じ状況になっているのです。

いま、オリンピックの準備に、貴重な資源と労働力が投入されています。

これを、医療など緊急に必要な分野に振り向けることができないものでしょうか?

オリンピック関連施設、イベント施設などの緊急利用ができないでしょうか?

医療だけでなく、災害時の避難所の用意も必要です。

これは、特措法で可能なはずです。

これら以外にも、官庁への不要不急の規制や届け出などのために割かれている人員は、コロナ対処のために投入されるといった判断が求められると言えそうです。

野口 悠紀雄 一橋大学名誉教授

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のぐち ゆきお / Yukio Noguchi

1940年、東京に生まれる。 1963年、東京大学工学部卒業。 1964年、大蔵省入省。 1972年、エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。 一橋大学教授、東京大学教授(先端経済工学研究センター長)、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、一橋大学名誉教授。専門は日本経済論。『中国が世界を攪乱する』(東洋経済新報社 )、『書くことについて』(角川新書)、『リープフロッグ』逆転勝ちの経済学(文春新書)など著書多数。

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