これが日本の偽らざる実態です。日本政府はまだロックダウンには踏み切っていませんが、すでに緊急事態宣言が発せられ、多くの事業者が休業を要請されています。しかしながら、要請に応えて休業に踏み切った事業者に対しても、国としての休業補償はしないという姿勢を維持しています。
休業補償のほか、国民生活の保障に対し政府が後ろ向きである最大の理由は、日本の財政が世界最悪の状態にあるからにほかなりません。
スペイン、イタリアも産業構造が脆弱
このように財政が極めて厳しい状態に追い込まれてしまっているのは、日本だけではありません。スペインとイタリアも日本と同様に、危機的状況に直面しています。
ご存じのように、この両国は欧州の中でも突出してコロナウイルスの感染者が多く、多数の方々が亡くなってしまいました。その理由の1つは、スペインとイタリアは財政が弱く、コロナ蔓延以前から医療への投資を削らざるをえなかったので、医療崩壊が深刻化して救える命を救うことができなかったと言われています。
たしかにこの両国は財政が極めて弱く、EUに支援を強く求めています。EUとしてコロナ債を発行するべきと訴えていますが、ドイツやオランダなどが反対しています。賛成している国と反対している国を見ると、賛成しているのは生産性が低く財政が弱い国で、反対しているのは生産性が高く財政が強い国という特徴が見られます。
そして、その生産性の弱さの原因は「小規模事業者の多さにある」とされています。
スペインとイタリアの生産性は、それぞれ世界第30位と第33位です。このように低いランキングになっている状況は「スペイン病」や「イタリア病」と揶揄されています。
欧米の学会で発表された複数の論文で、小規模事業者を中心とする中小企業が全企業に占める割合が大きすぎ、企業の平均規模が小さいことが、この低い生産性の原因であるとハッキリ指摘されています。ドイツやフランスと比べてみると、その違いは明らかです。
仮に同規模の企業の生産性が各国で同じだとしても、小規模事業者の生産性は大企業の半分強程度でしかないため、小規模事業者の比率が大きくなればなるほど、国全体の生産性は当然下がります。
このような問題を抱えている国は、日本、スペイン、イタリアだけではありません。韓国、イギリス、ニュージーランド、ギリシャなどがそうです。これらの国の頭文字を並べるとSINKING、つまり「沈む」国となります。
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