コロナ禍で政府に中々伝わらない国民の不安 医療関係への支援もまだ足りていないのに…

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こうしてさまざまな壁を取り払うためには、政府が承認、認証制度を軽減する、政府が製品の買い取り制度を作る、投資を補助する仕組みを作る等、ビジネス上のリスクを低くする制度の早急な整備が必要である。

安倍首相は、15日医療用マスクや防護服を生産する企業の幹部(企業数は正確にはわからないが10社程度と想定される)とテレビ電話方式の会議をもち、余剰在庫を全量買い取ることを表明したようであるが、これを制度化することが早急に望まれる。

保健所の機能拡充

新型コロナに感染したかもしれない患者が、最初にコンタクトする先が保健所である。現在、保健所は、電話相談、PCR検査の検体採取の医療機関の紹介、検体の搬送という3つの業務を担っている。しかし、保健所のスタッフの数は少なく、急増する電話対応にてんてこ舞い。スタッフは残業につぐ残業であり、彼らも我慢の限界に近づいている。

保健所は、都道府県、市町村に属する施設であるので、まずは、各県、各市が、県庁、市役所の職員を応援に出すべきであるが、今や新型コロナ問題は全国的問題なのだから、政府、厚生労働省も保健所を支援する方策を考えるべきであろう。

特に、PCR検査の実施については、今のような医療機関の帰国者・接触者外来だけでは、キャパが足りない。そのうえ、院内感染リスクもあるのだから、医療機関の外でのドライブスルー検査、休業している公共施設や市役所などへの検査場所の設置等を行うべきである。そのとき規制が壁になるというなら、その撤廃を早急に進めることが政府の役割であろう。

こうして、PCR検査を拡大し、感染者の数、新型コロナの広がりを正確につかむ体制を早急に整える必要がある。

東京都医師会は、みずから都内20カ所にPCR検査所を設置する方針を発表した。おそらく20か所では、まだまだ数が足らず、50カ所、100カ所程度を設置しないと感染拡大には対応できないものと思われる。

ここは政府、東京都も医師会の動きをバックアップし、補助金を出す、人を派遣して医療業務以外の事務作業を支援する、自衛隊を出動させて検査所の設置をスピードアップする等の施策を早急に打っていくべきであろう。

植田 統 国際経営コンサルタント、弁護士、名古屋商科大学経営大学院(MBA)教授

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うえだ おさむ / Osamu Ueda

1957年東京都生まれ。東京大学法学部を卒後、東京銀行(現・三菱UFJ銀行)入行。ダートマス大学エイモスタックスクールにてMBA取得。その後、外資系コンサルティング会社ブーズ・アレン・アンド・ハミルトン(現PWCストラテジー)を経て、外資系データベース会社レクシスネクシス・ジャパン代表取締役社長。そのかたわら大学ロースクール夜間コースに通い司法試験合格。外資系企業再生コンサルティング会社アリックスパートナーズでJAL、ライブドアの再生に携わる。2010年弁護士開業。14年に独立し、青山東京法律事務所を開設。 近著は『2040年 「仕事とキャリア」年表』(三笠書房)。

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