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コロナ危機がハリウッドに招いた思わぬ副作用 ロサンゼルスから消えた「ハエのような存在」

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  • 猿渡 由紀 L.A.在住映画ジャーナリスト
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しかし、セットを組み立てるクルーやメイクアップアーティスト、衣装係などは、そのかぎりではない。この形式では、彼らに仕事はこない。

アメリカでは、新型コロナで、舞台、映画、テレビの現場にたずさわる人たちが、少なくとも12万人、職を失った。フリーランスであるこれらの人以外にも、メジャースタジオや大手タレント事務所の社員の多くが、一時解雇をされている。

この緊急事態に対応し、アメリカでは、失業保険がフリーランスや個人事業者に対しても出る特例措置がとられた。カリフォルニア州の失業手当は、平均1週間に370ドル。このほかに、連邦の緊急補正予算から出される週600ドルがあるので、当面、1人当1週間に970ドルほどが支給されることになる。

政府以外からの援助もある。Netflixは、撮影中止のために失業してしまった末端の現場関係者を救うべく、1億ドル(約110億円)の救済基金を設立した。

同様に映画アカデミーも600万ドル(約6億6000万円)の基金を創設、映画俳優組合はじめ各組合もそれぞれに組合員を助ける基金を作っている。

それでも、あてにしていた仕事を突然にして失った絶望感は大きい。終わりが見えない状況が、さらに恐怖をかき立てる。

コロナと戦うハリウッド関係者たち

そんな中、何かできることをしようと、衣装デザイナーらの間では、病院に寄付するためのマスク製作活動が始まった。彼らの仕事は、役者が身に着けるものを監督の望むとおりにデザインし、縫製、お直しをすること。

布地の知識も、ミシンもある。病院側は、基本的には医療用のN95マスクを使い続けているが、その上にかぶせたり、万一本当にN95がなくなったりしたときのためにと思って、受け入れているようだ。

一方で、野外コンサートなどイベント会場の設置を専門とする業者は、コロナ患者を収容する臨時病院を作るのに大活躍している。何もない場所にステージや客席、トイレなどを作り、用が済んだらとっとと片付ける彼らにとって、普段やっていることとそれほど変わらない作業だ。

コロナのせいで、南カリフォルニア最大の音楽祭コーチェラ・フェスティバルをはじめ、あらゆるコンサートやイベントがキャンセルになってしまった。コロナに収入を奪われた彼らは、その憎き相手と戦うために、今、そのスキルを発揮しているのである。

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【街から消えた「ハエのような存在」】

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