エンタメ界、「無観客ライブ」で乗り切れるか 課題は収益化策、出演者らの理解不足も壁に

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ライブ配信は新型コロナウイルスが流行するまで、大手企業からの引き合いが強かったが、今では個人経営の飲食店から料理風景を配信できないかといった相談が寄せられている。

17 ライブでは配信方法を3つ用意しており、1つが配信とともにグッズ販売を行うことができるライブコマース。2つ目は、配信をみた視聴者が配信者へプレゼント「ギフティング」(投げ銭)を送るもの。そして、課金した人のみが視聴できる有料配信も用意している。17 ライブでは、4月9日にライブ配信を有料化できる仕組みを導入した。

17 ライブのこれらサービスを活用した結果、「ライブ配信は会場のキャパ以上の人を集めることができるので、グッズ販売が好調で通常よりも売り上げが多かったケースもある」(小野社長)という。

出演者のリテラシー不足が壁に

ただ、ライブ配信の普及には障害もある。「ライブ配信をまだやったことがない企業などは導入に心理的ハードルを感じている。大物歌手から直接ライブ配信を実施したいという相談もあるが、事務所側が(配信方法がわからないなどを理由に)難色を示すケースもある」(小野社長)。いわば、出演者のリテラシー不足が普及の壁になっているのだ。

こうした悩みはライブ配信サービスを提供する企業にとって共通の課題だ。新型コロナウイルスの感染がさらに拡大すれば、出演者自身が外出できなくなることも想定される。SHOWROOMの広報担当者は「配信者が外に出たり、無観客ライブを行うことが難しくなった際に、自宅からも配信できる状況を作ることが重要」と指摘する。

今まではネット配信などを行っていなかったジャニーズ事務所が、YouTubeで4日連続のライブ配信を無料で行うなど、ネット配信に積極的に動く事務所も出てきている。しかし、ある芸能事務所関係者は、「(自社でも)無観客ライブや生配信を実施しているが、大きな収益源になるとは考えていない」と話す。出演者や芸能事務所にライブ配信の抵抗感をなくし、今後どれだけ収益化できるかが課題となる。

安倍首相は3月28日の会見で「(イベント中止に伴う)損失を補てんする形は難しい」と話しており、今後もイベント中止による損失が補てんされる可能性は低い。新型コロナウイルスの影響が長期化する中、多くのエンタメ企業が生き残り策を模索している。

井上 昌也 東洋経済 記者

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いのうえ まさや / Masaya Inoue

慶應義塾大学法学部政治学科卒業、同大メディア・コミュニケーション研究所修了。2019年東洋経済新報社に入社。現在はテレビ業界や動画配信、エンタメなどを担当。趣味は演劇鑑賞、スポーツ観戦。

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