古賀伸明・連合会長--非正規の組織化に本腰を入れる、連合が地域経済立て直しの核に
--地方の景気悪化でシャッター通りとなる地域経済の疲弊は、進む一方です。地域に根差した運動を具体的にどう進めていくのですか。
連合には47都道府県に地方連合会があり、その下に地域協議会があります。この地域協議会を徹底的に強化し、そこの住民とともに運動や活動ができるように、ワンストップサービスを行える拠点としていくつもりです。現在100強の拠点を増やすとともに、専従体制をきちんと取れるようにしていきます。そこで産、官、学と連携して地域おこしを担う必要があると考えています。
--しかし、今の体制では地域の代表が連合の意思決定にかかわることはできませんよね。
これまでの組織論からいえば、会費を出しているのは産別組織なのだから、方針決定にかかわれるのも産別だけという発想でした。ですが地方分権の議論と一緒で、地域に特徴のあるさまざまな運動が求められており、今では機関決定を行う中央執行委員会に、地方連合会のトップを入れるべきといった議論も出てきています。簡単ではありませんが、極めて大きな検討事項です。
--与党との関係に戻りますと、公務員制度改革をめぐっては対立点も多いのではないですか。
いや、与党も言っているように、公務員の労働基本権をきちんと回復するという前提があれば、きちんとテーブルに着ける話だと思います。そのうえで、労働条件の一つとして人件費も労使が真摯に協議交渉すべきだと考えます。そうすれば常識的な方向性が出てきますし、そうズレたことにはなりません。
--JAL再建でクローズアップされた企業年金減額については。
原則論としては当初の制度をきちんと運用すべきでしょうが、経営状況や将来の見通しなど周辺事情も十分に加味しながら、労使で真摯に議論しつつ、方向性を定めていくしかないと思います。
--労働運動の後継者の育成についてはどう考えていますか。
今はリーダーが自然と育ってくれる状況ではありません。やはり労働教育の強化は必須だと思います。これは単に権利の話だけではなく、働くことの苦しみや喜びによって自分を高めていくという経験です。経営に携わる人にも必要な話で、学校教育、企業教育の中でも取り組む必要があります。その中で労働組合とか労働運動の役割や機能を感じ取りながらリーダーが育っていく。地道な教育によって労働組合員であるべきだと考える人が増え、組織率も上がっていくことを期待しています。
(聞き手:鈴木雅幸、風間直樹 撮影:今井康一 =週刊東洋経済)
こが・のぶあき
1952年福岡県生まれ。宮崎大学工学部卒。75年松下電器産業(現パナソニック)入社。松下電器産業労働組合中央執行委員長、電機連合中央執行委員長を経て、2005年連合事務局長に就任。09年10月から現職。
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