日本の財政が理解できてない人に伝えたい現実 「絶対に安全だと言える根拠は何もない」

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そこで、財務省の浅川雅嗣前財務官(現アジア開発銀行総裁)がOECD(経済協力開発機構)租税委員会の議長だったときに、OECDを舞台に国際的な議論を始めたという経緯があります。公正なルールをいかに作るかが最大の課題ですが、G7(主要7カ国)やG20(20カ国・地域)において、日本は議論をリードする立場としてしっかりやっていきたいと思います。

気候変動にからむ議論にもしっかり取り組むが、気候変動問題に対する日本政府の決定がまず先にある(撮影:尾形 文繁)

気候変動にからむ議論も、ヨーロッパを中心に非常に大きな流れになっています。その中で炭素税やカーボンプライシングと呼ばれる制度作りの話がありますが、税という形で対応する必要があるなら、われわれは技術的な議論にはしっかり取り組もうと思います。ただ、それは、気候変動問題に対する日本政府の取り組み全体がどうなるかが先にあり、その決定に沿って検討していくことになるでしょう。

真山:両方とも、財務省が表に出て交渉を進めるというよりは、交渉の推移を見て、タイミングが来たらそれを受けて行動されるのですか?

「税の手法を活用する」なら財務省で検討する

岡本:国際課税原則については、日本政府の中で財務省が直接的な担当となり、日本として最大限の役割を果たしていきます。気候変動問題については、いきなり財務省が「炭素税はどうしますか?」と言い出すのではなく、日本政府として気候変動問題にどう対応するかを議論して、その中でもし「税の手法を活用する」といった話が出てくれば、技術的なところは財務省で検討するということになると思います。

真山:アベノミクスの一環として、日本銀行が異次元金融緩和を開始して、財政赤字を解消するために発行される国債を大規模に買い続けています。「これってタコが自分の足を食べるようなものではないの?」と思ってしまいます。将来的に見て、危険性はないのでしょうか?

岡本:アベノミクスは、大胆な金融緩和をすることによって、デフレをまず終わらせるということを最大の眼目にしました。日本銀行は大量の国債を購入してその大胆な金融緩和を始めたわけですが、それによって国の財政節度が失われ、経済運営や通貨に対する信頼も失われてしまうと、結果的にインフレーションを起こして、国民に大変な負担を強いる形になります。

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