英語入試問題であなたも知の冒険に 入試問題、あなたはどれだけ解けますか?

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深まる謎に楽しみが増す

さて、最後にとっておきのこちらの問題をどうぞ。少々古い問題ですが、私のお気に入りの一題です。あなたの答は?

aとbとの英文につき、文法的に正しいものを選べ。もし、aもbも正しければaとbの両方を、aもbも誤りならばcをマークせよ。
a. I’ve already GIVEN Chris it.
b. I’ve already GIVEN Chris that.
(GIVENが大文字になっているのは、これが文中で最も強く発音されることを示す)
(2001 早稲田大-教育)

 

答は、私には確信がもてないのですが、きっと、旧情報のitが直接目的語にはならないという根拠でbを正解と意図しているのでしょう。ネイティブスピーカーの教師も確信は持てないと言います。そういえば、2000年くらいの英語教育の世界では「旧情報・新情報」という用語が流行しましたね。懐かしいです。まあ、テストというのは満点が取れてしまうと面白くないものです。TOEICなどの優等生試験は、英語ができるようになってしまうと、問題が解けないということがなくなってしまいます。それでは、知的挑戦がなくなってしまいますね。

しかし、日本の難関大の入試問題は、何十年と英語を勉強していても、英語で仕事をしていても、ネイティブスピーカーであろうとも、答がわからない出題が必ずあり、つねに知的挑戦を与え続けてくれます。正式な解答が大学から発表されないということも、その謎を深めてくれます。まるで、コナン・ドイルの小説を読みながら、謎解きをするような楽しみが入試問題にはあるのです。

独自に深化した受験英語の世界

皆さん、楽しんでいただけましたか? 世界ではなかなか見かけない面白い問題の数々。まさに、オタク文化、ニッポンの産物ですね。このように、グローバル化や実用性にとらわれないオタク的追求こそが、日本特有の芸術やエンタメを生み出してきた原動力なのでしょうね。

毎年、入試問題集を眺めながら、「面白いなあ」「すごいなあ」と、感心してしまいます。これぞ、世界の人々には理解できない、いや理解してもらわなくてもよい、日本固有の受験英語文化なのですね。ガラパゴス諸島の動物たちのように、ここにしか見ることができない貴重な問題がたくさんあるのです。

さて、今回は、英語教育から離れて、問題を純粋に楽しむためだけの番外編でした。お楽しみいただけましたか?

※今回の記事の作成においては、佐藤教育研究所の佐藤誠司先生にご協力いただきましたことに感謝いたします。

安河内 哲也 東進ハイスクール・東進ビジネススクール講師

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やすこうち・てつや / Tetsuya Yasukochi

1967年福岡県生まれ。上智大学卒。予備校講師、教育関連機関での講演などで実用英語教育普及に従事。著書に『子どもの英語力がグンと伸びる最強の学習』(扶桑社BOOKS)など。

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