阪急3000系がデビューしたのは1964年。東海道新幹線と同い年だ。当時、阪急は京都本線が直流1500Vで電化されていたのに対し、神戸線と宝塚線は直流600Vであり、高速化や高頻度運転の妨げになっていた。また、手狭になった正雀工場を拡張し、西宮工場の機能を移転する計画や、建設中だった神戸高速鉄道を介して山陽電鉄への直通運転を行う計画があり、そのためにも直流1500Vへの昇圧が求められていた。
だが、昇圧工事というのは各施設の大規模な改修を伴う。当然ながら車両も直流1500Vに対応できる車両が必要となるが、その車両は昇圧前日まで直流600Vでも走れる構造でなくてはならない。そこで、スイッチを切り替えることで両方の電圧に対応できる複電圧車両として誕生したのが3000系である。
阪急伝統の外観スタイル
3000系は、4年前(1960年)に登場した2000系や、その複電圧車両である2021系がベースで、ほぼ同じ外観となっている。阪急の車両は戦前から、中央貫通扉の上にヘッドライト、左右上部に標識灯という前面スタイルで統一。2000系もこの流れを踏襲しつつ、窓回りの補強がなくなり銀色のアルミサッシとなるなどさらにすっきりした。このスタイルは、時代の流行や技術の進歩を取り入れながら、最新車両である1000系・1300系にも受け継がれている。
阪急3000系
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7000系と並んだ3000系(中央)
(筆者撮影)
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よく見ると屋根の深さや表示幕の位置などが微妙に違う
(筆者撮影)
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3000系の車内。床敷物やクーラー以外は
ほぼオリジナルの姿をとどめている(筆者撮影)
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ドア間に3つ並んだ窓とヨロイ戸は長らく
阪急の標準仕様だった(筆者撮影)
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緩やかにカーブを描く手すりが昭和を感じさせる
(筆者撮影)
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シンプルな構成の車掌台
(筆者撮影)
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運転台はかなりコンパクトな造りだ
(筆者撮影)
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運転士用のいすもかなり小さい
(筆者撮影)
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マスコンとブレーキが分かれた昔ながらの運転台。
速度計は近年デジタル化された(筆者撮影)
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マスコンは上のレバーを押し込んで操作し、
手を放すと非常ブレーキがかかる(筆者撮影)
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ずらりとスイッチが並ぶ運転台上部
(筆者撮影)
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車掌台の上部。ドア開閉スイッチは
乗務員扉の上に設置されている(筆者撮影)
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神戸三宮方先頭車の3003号車は1964年製。
今年で56歳だ(筆者撮影)
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種別・行先表示装置の指令器。神戸線の種別・列車に
対応できるようになっている(筆者撮影)
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懐かしの「須磨浦公園」幕を表示した3000系
(筆者撮影)
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引退の日まで、車体はピカピカに保たれていた
(筆者撮影)
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7000系(手前)とは乗務員扉の開き勝手が
逆になっている(筆者撮影)
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ヘッドライトはLED式に交換されている
(筆者撮影)
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