新型コロナで失業者の41万人増加が予想される 「オークンの法則」で成長率から失業率を推計

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日本における2000年以降の負の相関関係を用いると、仮に新型コロナ・ショックの影響によって実質GDP成長率のマイナス幅がリーマン・ショック時(前年同期比マイナス8.8%)と同程度となった場合、失業率は約0.9%ポイント上昇することになる。20年2月の完全失業率は2.4%だったことから、3.3%になる。労働力人口が6850万人であることを考慮すると、約64万人が失業するという結果だ。

コンセンサス予想どおりなら失業者は41万人増加

また、前述したエコノミストのコンセンサス予想どおりの成長推移となった場合は実質GDP成長率が4~6月期に前年同期比(前期比年率ではない)で年率マイナス5.6%になることが織り込まれているため、完全失業率は約0.6%上昇し、3.0%になる。その結果、約41万人が失業することになる。

なお、エコノミストのコンセンサス予想では完全失業率が2.88%まで上昇することが織り込まれているため、コンセンサス予想はおおむねオークンの法則にしたがって予想されているといえる。当面は、このコンセンサス予想どおりに40万人前後の失業にとどまるのかが試金石となる。

最後に、オークンの法則から想定される実質GDP成長率と完全失業率の関係を表にまとめた。

成長率のマイナス幅が大きくなれば、それに伴って一定の失業が発生することは避けられない。しかし、オークンの法則が示すよりも失業率の上昇を限定することができれば、回復のペースも速くなる。回復ペースのカギを握る失業率の変化に注目が必要である。

末廣 徹 大和証券 チーフエコノミスト

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すえひろ とおる / Toru Suehiro

2009年にみずほ証券に入社し、債券ストラテジストや債券ディーラー、エコノミスト業務に従事。2020年12月に大和証券に移籍、エクイティ調査部所属。マクロ経済指標の計量分析や市場分析、将来予測に関する定量分析に強み。債券と株式の両方で分析経験。民間エコノミスト約40名が参画する経済予測「ESPフォーキャスト調査」で2019年度、2021年度の優秀フォーキャスターに選出。

2007年立教大学理学部卒業。2009年東京大学大学院理学系研究科物理学専攻修了(理学修士)。2014年一橋大学大学院国際企業戦略研究科金融戦略・経営財務コース修了(MBA)。2023年法政大学大学院経済学研究科経済学専攻博士後期課程修了(経済学博士)。

 

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