ECBの怒濤の資産購入は半年で限界にぶつかる 手札を使い切らないよう慎重さが求められる

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3月の金融市場の大混乱を手当てするために、②や③が追加されたので3月分の実績が非常に大きかったのは当然だ。APPとPEPPを合計した月間の資産購入額は666億ユーロに達し、前者は511.4億ユーロ、後者は154.4億ユーロだった。つまりAPPは月間で義務としている200億ユーロに加え、311億ユーロ程度が緊急枠から拠出されたことになる。1200億ユーロ追加したうちの311億ユーロであり、決定から2週間強で総枠の4分の1を使った計算になる。このペースが続けば4カ月程度でAPPの緊急枠は使い果たす計算になる。

現状の運営では半年程度しかもたない

片や、PEPPの154.4億ユーロもおおむね3月最後の2週間における購入額だが、今回は月次データ(3月分)に加え3月30日~4月3日までの購入額が301.5億ユーロであったことも公表されている。1週間で300億ユーロ、1カ月で1200億ユーロと単純計算していくと、6~7カ月で7500億ユーロの枠も使い切ってしまう計算になる。

これらの買い入れのほとんどが国債であるが、例えば資産担保証券の3月の購入額(29.2億ユーロ)は前月の10倍以上に膨らみ過去最大になっているほか、それ以外のプログラムも軒並み大幅に増加している。

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