EUは3度目にして最大の危機でも「内輪もめ」

「非戦の誓い」を忘れれば、反EUの機運高まる

26日のEU首脳による話し合いはテレビ会議で行われた(写真:European Council)

新型コロナウィルス対応をめぐって、欧州がいつもの「内輪もめ」モードに入ってしまった。27日のオンライン記事『イタリア支援でEUにくさびを打ち込んだ中国』では医療資源の確保をめぐってEU(欧州連合)域内不和が生じ、そこに中国につけ込まれたような状況を確認した。

今回確認するのはいつもどおりの財政支援をめぐる域内不和である。今回の危機対策としては、ESM(欧州安定メカニズム)の利用やOMT(Outright Monetary Transaction)の稼動、EU共通債の発行など多様な論点が飛び交っている。

ECBの次は政治の出番だが

ちなみに3月26日にはECB(欧州中央銀行)が突然、「パンデミック緊急購入プログラム」(PEPP: Pandemic Emergency Purchase Programme)について「issue or issuer limit」(発行額と発行体の限度)と呼ばれる33%ルールの撤廃を発表している。これほど重要な争点が政策理事会ではなく、しかも会見もなく、突然発表されたことはサプライズと言わざるをえない。文字どおり、なり振り構わずの姿勢である。

なお、ESMやEU共通債といった論点はEU首脳会議を頂点とする「政治」の管轄である一方、OMTはECBすなわち「中央銀行」の管轄なので、意思決定主体が異なる。しかし、OMTを利用するには、ESMの支援対象国であることが条件となるため、ESMの利用も必要なのである。ECBの政策ツールでありながらECBの判断だけでは活用に至らないという部分にややこしさがある。

OMTはドラギ前ECB総裁の有名な台詞「ユーロを守るためならばECBは何でもやる用意がある」の結果として出てきた政策であり、債務危機に終止符を打ったといわれる政策だ。詳細は省くが「短・中期国債の無制限買い入れ」がうたい文句である。とはいえ、使用実績がないことから「抜かずの宝刀」とも呼ばれてきた。ついに宝刀が抜かれるのかどうかも注目に値する。

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