ECBの怒濤の資産購入は半年で限界にぶつかる 手札を使い切らないよう慎重さが求められる
今週、3月のECB(欧州中央銀行)の資産購入プログラム実績が公表された。今回の月次データでは国別や平均残存年限なども明らかになっている。ECBの資産購入プログラムを整理しておいたほうがよいだろう。資産購入の一般的な目的は金利の抑え込みと円滑な資金供給であるが、今回は特に、コロナ感染拡大による経済への影響が懸念されて域内各国の金利が急上昇したことに、対応している。
8700億ユーロもの巨額枠を準備したが
ECBは現在、①昨年11月に再稼働させた「拡大資産購入プログラム(APP)」の月間200億ユーロをベースとして、②3月12日の政策理事会でこれに付加された1200億ユーロの購入枠と、③3月18日に緊急発表された「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)」の7500億ユーロという3つの資産購入ツールを持っている。①は月間200億ユーロという義務を負っているのに対し、コロナショック対策で打ち出された②や③はそういった制約はなく、「年内」を時限として自由に使えることになっている。すなわち②と③の合計である8700億ユーロは機動的に打てる状況だ。
なお、補足しておくと、APPとは、国債購入を主体とする公的部門購入プログラム(PSPP)、社債購入を主体とする企業部門購入プログラム(CSPP)、資産担保証券購入プログラム(ABSPP)、カバードボンド購入プログラム(CBPP3、現在は第3弾なので「3」が付く)の4本の総称である。PEPPは内訳が明らかにされず、総額しか明示されていない。
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