アフリカでの感染爆発はケタ外れの悲劇を生む アフリカで病院を運営する経営者が警告

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私の病院でもワシントン州のゲートウェイ・フェローシップ、オレゴン州のプロビデンス・ビンヤードといった医師団を派遣してくれる団体と調整を行ってはいるが、感染や重篤化が危惧される高齢の医師たちの多くは、アフリカには来ることは出来ないだろう。また、現状では世界各国が飛行機などによる移動を制限しているため、これが強化されると他国から医師団を呼ぶこと自体がまったく出来なくなる。

最近、タンザニア政府の北部地区ヘルス・オフィサーのムッサ・エドワーズ氏と話したばかりだが、彼も今の世界情勢からアフリカへの影響を非常に危惧しており、必要となればロックダウン宣言など感染防止を先制する行動をとることが重要だと言っていた。

人々は飢えて路頭に迷うことになる

エドワーズ氏は語る。「ほとんどの人はその日に食べる食糧を確保することで精いっぱい。そんな地域で新型コロナウイルスの感染が広がった場合、悲劇は免れない状況に陥ってしまう。今は潤沢な衛生資材もきっと不足するだろうし、感染者が増えればロックダウンの日数も長くなるだろう。しかし、そうなったら多くの人々は飢えて路頭に迷うことになる」。これはまさに、私が最も恐れていることでもある。

アフリカの現状を「数字的」に見ると、ドラスティックな準備をするのはまだ早すぎる段階だと思うかもしれない。死者数も感染者数も、まだ欧米諸国のようにひどくはない。しかし、このウイルスが恐ろしいのは、油断するとあっという間に被害が拡大してしまう点だ。それは今いるアメリカで、すでに立証済みと言えるだろう。

アフリカは今、現在感染や死者を多く出している国々から学ばねばならない。数字だけを見て安堵し、準備をおこたれば、そこに待っているのは多くの死でしかない。だからこそ、今から各国の医療関係者などに働きかけを行うことは、決して早すぎる行動だとは思わない。初期段階において医療用品や、医師団派遣を他国に要請していくことが大事だと思っている。

最後に少しだけ自分のことを話すが、私は16歳の時にアメリカ人の養子になった。タンザニアの父は聖職者で、今のアメリカの家族はもともと父の知人だった。子供時代はとても貧しかった。この記事の中で述べてきた「貧困状態」にあるアフリカというのは、私自身が実際に経験してきたことだ。

そんな自分がアメリカで出来ることは、アフリカのために学び、アフリカのための活動基盤を作ることだった。現在は実父が、アフリカ側でNGOを支えてくれているが、私が行っていることはかつての「自分」を増やさないことにほかならない。

私はアメリカ人となり、今はアメリカに住んではいるが、それはアフリカを支援するための手段に過ぎない。私の心は常にタンザニア、そしてアフリカの大地と共にあるのだ。

新型コロナウイルスの影響は、日に日にアフリカにも迫ってきている。アフリカには幸せに暮らしながらも貧しい人がたくさんいる。そんな人は先進国の「当たり前」とは異なる現実の中で、このウイルスと戦わねばならない。そのことを、少しでも多くの方に知っていただければと思う。

ゴドウィン・セレンボ ニューホープ国際病院理事

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Godwin Selembo

アメリカ・ワシントン州在住、タンザニア出身。高校から渡米し、ビジネス・マネージメントの学位取得。母国タンザニアのDiscovery Preschool(幼稚園)、Sluys Anderson Primary School(小学校)、Hebron Secondary School and High School(中学校と高校)の創設者およびNew Hope国際病院理事。アメリカを拠点とするNGO団体Sakila Sponsorship Programを通じ、主に貧困に苦しむ子供たちに教育の機会の提供と医療支援を行っている

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