出前館、「LINEから300億円出資」という一大勝負

ソフトバンク出資のウーバーイーツと統合も

LINEとLINE傘下のファンドから総額300億円の出資を仰いだ出前館の中村利江社長(左から2人目、記者撮影)

それはまるでLINEによる業績不振企業の救済買収会見だった。

出前館が3月27日に開いた決算説明会はいつもとは様相が異なった。中村利江社長が冒頭に決算説明を行った後、大半はその前日に公表されたLINEによる出資の説明に充てられた。

この前日の3月26日、出前館は、LINEとLINE傘下の未来Fund有限責任事業組合を引き受け先とする、総額300億円の第三者割り当て増資を発表した。発行株数は約4109万株。これを1株730円で割り当てる。実現すれば発行済み株式総数が倍増することになる。

赤字幅が大きく拡大

LINEは2016年5月に出前館と業務提携し、同年10月に中村氏ら上位株主の保有株を譲り受ける形で出資していた。現在は議決権ベースで21.69%を保有する筆頭株主となっている。今回の増資でLINEグループの保有割合は60.92%に上昇する一方、中村氏の保有比率は13.93%から6.95%に後退する。

出前館の業績は2019年8月期に営業赤字に転落。2019年9月~2020年2月期は9億8900万円の営業赤字と赤字幅が大きく拡大していた。外形的には業績不振企業をLINEが救済したように見えるが、新株の発行条件を読み解くと、異なる姿が浮かび上がってくる。

730円という割り当て価格は、発行を決議した前日の終値694円に対し、5.19%のプレミアムを乗せている。発行決議前1カ月平均比でも0.34%のプレミアムで、救済買収に付きものの、株価より安い価格での引き受けではない。

300億円という金額も、出前館の売上高の5倍近い金額で、資金使途は向こう3年間に必要な成長投資に充てられる。いわゆる赤字補填ではなく、救済買収なら必要に応じて分割で投じられるところ、必要な手続きが済めば満額が一括で投入される。出資の条件交渉で優位に立っていたのは出前館側だったことをうかがわせる。

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