JAL争奪で激しい場外空中戦、外資航空が狙う利権
日本航空(JAL)をめぐり、世界首位の米デルタ航空と2位のアメリカン航空が激しい“空中戦”を繰り広げている。デルタ首脳が9日に前原誠司国土交通相と会談すると、アメリカンも急きょ、国交省内で会見を開いてアピール。何度も会見を行っては、優位性を強調しており、両者の資金支援額はほぼ同じ。互いに譲る気配はない。
不況直撃で自身が苦しい中、JALへこだわる背景には10日までワシントンで行われた日米航空協議がある。本誌発売時には結果が出ているが、焦点は成田と羽田の首都圏両空港が再拡張される2010年の航空自由化(オープンスカイ)合意だった。
勢力拡大の好機
この道が開けると日米間で約20%と高シェアを誇るJALの魅力ががぜん高まる。
というのも、オープンスカイでは、日米の提携航空会社同士が当局から独占禁止法適用除外(ATI)を認められると、本来禁止されている路線や便数、運賃などが自由に設定できる。外資規制で日米とも経営統合は難しいが、あたかも日米間の航空事業を統合した効果が見込めるのだ。
米航空会社がシェアの高いJALと手を組むメリットは大きく、目下の支援は関係構築の手土産ともいえる。一方、勢力拡大を目指し、航空連合スターアライアンスの全日本空輸(ANA)とユナイテッド航空、コンチネンタル航空の3社はATI申請を準備中。実現すれば日米間シェアは30%後半まで上昇する。
JALと同じワンワールドに所属するアメリカンの親会社AMRのトーマス・ホートン最高財務責任者(CFO)は3日午後の会見で「デルタとJALが組めばシェア60%の寡占状態になる。ATIは認められない」と牽制。同日午前にデルタ航空(スカイチーム)のエドワード・バスティアン社長が「ATIは認められる」としたのを真っ向から否定するものだった。