《ディズニーの正体》オリエンタルランド独り勝ちゆえの悩み、描ききれない次の成長戦略
パークの価値を上げ、そこからの収入を再投資に向ける。そうした成長サイクルからも、装置産業であるテーマパークにとって、値上げは必要な戦略ではある。
しかしこうした施策だけで成長戦略を描くことは難しい。今後導入する新アトラクションを考慮しても、年間の設備投資は300億~400億円レベル。むしろ07年度の526億円から減り、今後フリーキャッシュフローは積み上がる方向にある。
舞浜集中か脱・舞浜か 岐路に立つOLC
「これまで新規事業を育てると言いながら、どれもものになっていない。どこまで真剣に考えているのか」。今年5月の決算説明会でアナリストからは厳しい質問が飛んだ。
実際にOLCが舞浜を飛び出して成功した事業はほとんどない。03年からは全額出資子会社で独自のキャラクターを使った映画やアニメ制作に取り組んだが、09年3月にその子会社は解散。07年には米ウォルト・ディズニー社と協力して、福岡市に屋内型娯楽施設の建設を計画したが、昨年秋に断念している。屋内型娯楽施設については、ディズニーが求める品質を実現するための投資額と市場規模が合わなかったことが、断念の理由だった。
また、OLCは全国に55店(09年9月時点)のディズニーストアも展開しているが、業績は低迷。06年度には赤字に陥り、玉塚元一・元ユニクロ社長などが率いる事業再生ファンドから経営陣を招き、立て直しを図った(現在の経営陣はOLC出身)。
だが、現状ではやっと赤字を脱した程度で、次の事業展開は見えていない。今後売却を含めた抜本策が俎上に上る可能性もある。