ロバート・アイガーが退屈な男じゃなかった訳 理想の上司であり理想の部下と呼ばれる所以
アイガーの原則のひとつは、「手間に見合わない小さな案件に手を出すな」である。その言葉通り、CEOになってからのアイガーは地に足のついた人柄とは対照的に、際どい案件にも挑んでいく。ディズニーの純粋なイメージとは正反対のダークヒーローを持つマーベルの買収は、市場での憶測もほとんど出ていないような意外な案件だった。そして、白人男性ばかりだったスーパーヒーロー映画に、黒人や女性のメインキャラクターを持ち込み成功させた。ルーカスフィルムを買収後は、思想信条のまったく違うルパート・マードックから二一世紀フォックスを買い取る。ピクサーとマーベルとルーカスフィルムを足し合わせたよりも大きな金額を、ここに賭けたのである。
ディズニー後に人生はあるか?
アイガーの進撃はそれに止まらなかった。その先に見据えていたのは、消費者への直接配信(D2C)ビジネスだ。2019年11月に開始したディズニープラスは3カ月で2800万人の加入者を獲得。HuLuの3000万人とESPNの加入者を加えると、述べ6000万人を超える加入者を獲得している。その結果、ディズニーはコムキャストやネットフリックスも抜いて時価総額で世界40位以内に入る、エンターテイメント界の最大勢力となった。
「ディズニー後に人生はあるか?」この問いに対し、答えはイエス、とアイガーは言う。政界への進出もちらりとほのめかせているアイガーのような人物に政治の中枢で活躍してほしいと熱望するのは私だけではないだろう。上院議員か州知事か、はたまた未来の大統領か、それともまったく別の道を行くのか。今後の活躍が楽しみになる。
アイガー自身も言っているように世の中の評価は後付けだ。どんな優れたリーダーも最初から結末がわかっているわけではない。だが同時に、優れたリーダーにはその人なりのスタイルと原則があり、それに忠実に生きてきたからこそ成功していることも事実である。リーダーを目指す人たちに、アイガーの原則が助けになることを祈っている。
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