新型コロナ院内感染、そのとき何が起こったか 東京・佼成病院が経験した「苦闘の3週間」

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閉鎖した院内にいる患者、スタッフの検査だ。誰を検査したらよいか、それすらわからなかったという。最も困ったのが、濃厚接触者をどのように特定するかだった。

国立感染症研究所が作成する「新型コロナウイルス感染症に対する積極的疫学調査実施要領」(3月12日暫定版)によると、濃厚接触者の定義を「患者と同居あるいは長時間の接触があった者」や「 適切な感染防護なしに患者を診察、看護もしくは介護していた者」などと定めている。

検査の対象者をどうやって決めるのか

濃厚接触者の定義はあっても、それを調べる方法がない。「保健所に聞いても検査対象者を決める具体的な方法はわからなかった。どのような手順で濃厚接触者を割り出し、どこまで検査を受けされるかは病院で決める必要があった」(高橋副院長)と言う。

医療機関で集団感染が発生した場合、検査の対象範囲などを一律に定めた基準はない。保健所の調査や助言のもと、医療機関が院内感染対策を実施する。感染者が接触した範囲を特定した後、濃厚接触者の範囲を具体化し、それに基づき、どこまで、誰を検査するべきかを決める。

同病院では感染者の発覚後、病院長をトップとする対策本部をすぐに立ち上げた。まず取りかかったのは、感染患者の行動をすべてたどることだった。外来を担当した医師や検査技師など、接触者の名簿を作成した。

もともと佼成病院には感染管理室があり、院内感染対策チームが活動していた。これに加えて杏林大学の教育関連施設として協力関係にあり、同大学出身者の感染管理認定看護師資格をもつ看護師が在籍していた。さらに、別の大学で感染制御部の責任者をしている医師が非常勤で勤務していた。

そこで、医師と看護師の意見、さらにアメリカの疾病対策センター(CDC)の基準をもとに、接触者の感染リスクの高さを測る評価マニュアルを作成した。

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