評価マニュアルでは「患者や患者の分泌物と直接接触したり、患者の部屋に入室した」という問いに始まり、さまざまな問いにイエス/ノーで答えていくと、感染リスクを「高」「中」「低」の3段階に分けられる。そのうち、高と中を濃厚接触者とみなして検査を行った。
検査対象となったのは合計48人。そのうち陽性が出たのは、看護師1人のみだった。考えられる感染経路は2つあった。
1つは80代の男性患者の入院時に尿の掃除や、抱きかかえてベッドに寝かせるなどの介助をしていたこと。もう1つは、マスクをしていたが70代の女性患者と長時間話していたことだ。看護師は男性患者が入院してから12日後、発熱などの症状が出ていた。
退院患者の感染という「不意打ち」
病院内の感染者は1人のみだったが、「不意打ちを食らったのは、すでに退院した患者の感染だった」と高橋副院長は振り返る。
その男性患者は、初めに感染がわかった患者と同じ部屋に入院していた。期間は2日間だけだ。退院後は保健所の指導により自宅で過ごしていたが、同院で心臓カテーテル手術を受けていたことから、術後の経過確認のため2月26日に病院に来ていた。「息苦しい」という患者の訴えから、心電図や肺の検査をしたところ、肺炎が見つかった。すぐにPCR検査が行われ、結果は陽性。都内の指定感染症病院へ搬送された。
病院は再び、その男性患者の診察や検査をした接触者の中から濃厚接触者を検査しなければならなかった。しかし、防御体制が強化されていたため濃厚接触者は少なく、新たな陽性者はいなかった。
3月7日、感染が発覚した看護師を含む4人の濃厚接触者となる家族や入院患者、病院職員全員の陰性が確認された。
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