鬼滅の刃が「日本中で愛されまくる」4つの理由 「劇場版公開」の今年こそさらなる飛躍に注目

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情報のデジタル化、SNS化が進む中で、現在は「手に入らない!」といったファンの声や、書店店頭の様子も可視化され、飢餓感も広範囲になりさらにかつてないスピードで共有される。決して仕掛けたわけではないが、ブームの広がりに2020年の社会状況は無関係でない。

2020年ブームはさらに加速する

2020年の大きなポイントのひとつは、すでに制作発表されている劇場版『鬼滅の刃 無限列車編』の行方だ。

2020年10月には「完全新作」の劇場映画が控えている(写真:アニメ『鬼滅の刃』公式サイトより)

テレビアニメがヒットした際、人気を持続させるためテレビ総集編を劇場版として制作するケースは多い。だが、2020年10月16日公開予定の劇場映画は「完全新作」となる。

テレビアニメ放送時、ヒットの規模が想像を超えたため、『鬼滅の刃』はマンガ単行本だけでなく関連商品の種類やサービス、企業タイアップ、コラボレーションも不足気味だった。そのため2019年はマンガとアニメのヒットこそ大きかったが、商品・サービス関連の二次市場は十分でなかった。

しかし劇場映画公開に合わせて、今後多くのキャラクターグッズやコラボレーションが展開されるはず。作品の露出機会は増える。

2019年はエンタメ業界にとっては「鬼滅の年」であったが、それがさらにブームを広げれば2020年は周辺市場も巻き込んだ「鬼滅の年」になるだろう。

さらに気になるのは海外の動向である。日本での大ヒットに比べ、海外ではまだ“空前の域”には達していない。今後鍵を握るのはテレビ放送だ。配信全盛とされる時代だが、ことアメリカに関しては、配信だけではアニメファン以外の広がりに欠ける。

今以上の認知獲得があるとしたら、テレビ放送をきっかけとしたブレイクだろう。北米で爆発的な人気を獲得した『NARUTO』や『ソードアート・オンライン』、『僕のヒーローアカデミア』はテレビ放送をきっかけに広く普及した。

いずれにしても短期間で高みに達してしまったがゆえ、今後どこに進むべきか方向性は想像もつかない『鬼滅の刃』。ブームの行く先に何があるのか。2020年はファンだけでなく、エンターテインメントビジネスの関係者の視線も集中しそうだ。

数土 直志 ジャーナリスト

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すど・ただし / Tadashi Sudo

メキシコ生まれ、横浜育ち。アニメーションを中心に国内外のエンターテインメント産業に関する取材・報道・執筆を行う。大手証券会社を経て、2002年にアニメーションの最新情報を届けるウェブサイト「アニメ!アニメ!」を設立。また2009年にはアニメーションビジネス情報の「アニメ!アニメ!ビズ」を立ち上げ、編集長を務める。2012年、運営サイトを(株)イードに譲渡。2016年7月に「アニメ!アニメ!」を離れ、独立。

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