“ハリボテ”人間はリーダーにはなれない

「建前上の自分」で生きていくのには、限界がある 

「たまたま転職の話が来たので逃げるように移ったが、新しい仕事は好きになれなかった。あと2カ月でHBSを卒業するが、今後の人生、何がしたいのかいまだによくわからないでいる。1年以上同じ人と付き合ったこともなく、このまま独身で人生を終えるような気がしている」

同じ人生でも、視点が異なるとまったく違ったストーリーになる。

どんな人も、周囲に対して自分をよく見せようと背伸びするものだ。そして背伸びをしているうちに、いつしかそれが当たり前になり、自分に対する期待値をどんどん上げ続けることになる。しかし、内面ではつねに「本当の自分」との葛藤がある。このギャップを認識し、「本当の自分」をもって相手と向き合うこと。そうすることが、お互いの壁を取り崩し、深い信頼関係を築く土台になる。

イスラム教にこだわる、個人的理由

自分の本心に忠実であるだけでなく、さらには過去のつらい“試練”を生かす生き方を選ぶ人もいる。たとえば、スターバックス創業者として知られるハワード・シュルツ。彼は、ニューヨークの貧しい地区で育った。シュルツが7歳のとき、父親が大ケガをして、無保険だったため治療費がかさみ、母親も妊娠7カ月で働けず、生活は困窮した。このときの絶望的な状況がトラウマとなり、将来、シュルツがスターバックスを起業したときは、同じ思いを従業員にはさせまいと誓ったという。

現在、スターバックスは、アルバイト社員に対しても健康保険を提供しているし、どんな従業員でも仕事に誇りを持てるように取り組んでいる。ハワード・シュルツは、彼のルーツは7歳のときの経験にあると語っている。

授業では、クラスメートのひとりが自分の試練を語ってくれた。彼は敬虔なイスラム教徒で、お酒も飲まないし婚前の性交渉もしない。イスラムの教えが今の彼の価値観を形作ったと言うが、それには深い理由があるという。

彼が胎児のとき、脳に異常がある可能性が高いことが判明した。中絶も十分ありうる状況だったが、両親は敬虔なイスラム教徒だったため、生むことにした。実際に生まれてみると、とても頭が切れる子であった。学校はすべてトップレベルの成績で卒業し、その後はマッキンゼーで大活躍した。今、彼が生きてここにいるのは両親が敬虔なイスラム教徒だったからであり、神のご加護でここまで幸せに生きて来れたわけで、これからもイスラムの教えに背くつもりはない、と言う。

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カーリング人気萌芽の時代から、平昌五輪での銅メダル獲得まで戦い抜いてきた著者。リーダーとして代表チームを率いつつ、人生の一部としてカーリングを楽しめるにまで至った軌跡や、ママさんカーラーとして子育てで得た学びなどを語る。