にわかテレワーカー170万人が抱く意外な憂鬱 コロナ対策で急に始めた職場が直面する難題

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例えば直接会って話をする際に何の問題のない「なんで?」という一言も、テキストだと「なんで?」は呆れたように受け止められたり、怒ってないのに怒っていると誤解されたり。相手のテキストを見てこちらが思わずカッとなったり、傷ついたり、びっくりしてしまっても、相手は「そんなつもりじゃなかった」ということはよくある話です。

だからこそ「!」や「?」あるいは絵文字や顔文字を活用することが、親しみやすさを表現するうえで効果的のようです。「チャットツールにあるスタンプ機能を使っている」と、語ってくれた先輩テレワーカーもいました。

積極的に感謝やお礼を伝えるようにしているという声もありました。感謝やお礼は、どんな職場においても大事なコミュニケーションの基本です。ところがテレワークでは、メンバー同士が物理的に離れていてお互いが見えにくく、なおかつ無機質なテキストコミュニケーション主体の環境です。こうしたポジティブな感情が伝わりにくくなりがちだからこそ、ことさらに意識する必要があるでしょう。

ポイントはコミュニケーションの「質より量」を重視すること。要は発信量を増やすことにあると筆者は思います。例えばチャットへのレスポンスに、お礼をちょい足しして返す。言葉はなんでも構いません。「大変だったろう」と共感してもいいし「助かったよ」と感謝を伝えてもいいでしょう。リアルなオフィス空間と比べて2割増しくらいで、やっと同等に伝わるかどうかじゃないでしょうか。

チームビルディングに心を砕く

テレワークがうまくいくかどうかは、リモートならではの孤独や不安を払拭できるオンラインコミュニケーションを確立できるかどうか。一見ムダに感じる雑談のようなチャットコミュニケーションが有効で、そのためには無機質なテキスト表現をケアしながらチャットの質を上げていく工夫がポイント。たどり着いた解は極めてシンプルなコミュニケーションでした。

重要なのは実践できるかです。チームワークが弱い組織が、いきなりチャットになってリラックスした会話ができるとも思えません。にわかテレワークで、チームがさらに崩れていく可能性もあります。

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逆にチームワークが強い組織は、リモート云々ではなく、普段から組織のあり方を自問自答しています。今回の取材でヒントを提示してくれたテレワーカーも総じて、職場の心理的安全性に対する意識が高い人たちでした。

結局のところ、チームビルディングに普段からどこまで心を砕いているかどうか。これがテレワークの職場において差を分けるカギになりそうです。

平賀 充記 ツナグ働き方研究所 所長

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ひらが あつのり / Atsunori Hiraga

人材開発コンサルタント/組織コミュニケーション研究家/若者キャリア研究家。1963年長崎県生まれ。同志社大学卒業。1988年リクルートフロムエー(現リクルートジョブズ)に入社。主要求人媒体の全国統括編集長を経て、2012年リクルートジョブズのメディアプロデュース統括部門担当執行役員に就任。2014年ツナグ・ソリューションズ取締役。2015年ツナグ働き方研究所を設立、所長に就任。著書に『非正規って言うな!』(クロスメディア・マーケティング)『神採用メソッド』(かんき出版)『なぜ最近の若者は突然辞めるのか』(アスコム)がある。
ツナグ働き方研究所オフィシャルサイト「ツナケン!」:https://tsuna-ken.com/

 

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