新型コロナの感染者は集中治療室(ICU)に入り、人工呼吸器を含む医療器材が整った環境で患者1人につき1人か2人の看護人という形で治療を受ける。しかし、集中治療ができる病床数は、全国で4000ほどといわれ、今後患者数が増えれば、追いつくことができない。
すでに一部の患者の手術が延期され、早期退院が奨励されてきたが、それでも間に合わない可能性が出てきたので、ロンドンには「NHSナイチンゲール病院」、そして中部のバーミンガムなどに新たな医療施設を建設する予定となっている。
NHSナイチンゲール病院は、通常はイベント開催施設の「エクセルセンター」を使い、最大で4000人の患者を収容できる。英軍の助けを借りて準備が進められ、まずは500人から収容を開始する。
人工呼吸器も、防護用メガネやガウンも足りない
ほかにも難題がある。人工呼吸器が足りないのだ。世界各地で人工呼吸器の需要が急速に高まり、その調達が大問題となってきた。政府は人工呼吸器専門ではないメーカーにも製作を依頼している。
感染者をケアするNHSのスタッフが感染から身を守るための一式(保護用メガネ、マスク、全身を覆うガウン、手袋)が行き渡らず、スタッフが悲鳴の声を上げている。
さらに、イギリスはこれまで、コロナ感染の検査を入院している人にのみ限っており、NHSスタッフは検査対象となっていなかった。自分が感染しているかどうかもわからず、スタッフは仕事をせざるを得なかった。「あまりにもひどい」という声が上がり、数日前から、ようやくNHSスタッフにも検査が始まったばかりだ。
政府が外出禁止令、小売店やレストランなどの閉鎖措置を取った際に、大きく問題視されたのが「閉店令に従ったビジネスをどうするのか」だった。多くのビジネスは従業員の解雇を余儀なくされる事態に直面したからだ。
政府の対応としては、まず最も感染者が多いイングランド地方では閉店令が出た業界の企業に対し、最大で2万5000ポンド(約330万円)の現金を提供するうえに、4月以降の事業税の支払いを免除することになった。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら